深夜、ベットで「雲霧仁左衛門(池波正太郎)」を読んでいると
下のような一節に出くわした。
・・・・・・ 小判を押しいただき、安太郎は大黒蕎麦か
ら駆け出して行った。
そこへ、蕎麦が運ばれてきた。
色の黒い太打ちの蕎麦で、薬味はおろし大根のみであった。
「うまい」
蕎麦をすすりこみながら、山田藤兵衛が、
「津山。すまぬが、あとで生卵を二つほど、もらって来てくれ」
笑をうかべて、
「年の所為かな‥‥・このごろは、根気がなくなってきた」
と、つぶやいた。・・・・・
大黒蕎麦というそば屋の二階で見張りをしている、与力と同心。
さっきから、空腹をおぼえていたところ。
この、薬味は大根おろしのみ、の蕎麦。どうにも、たえられなくなってしまった。
やおら、起き上がる。
「大根もある。よし、作ろう」
作る。
湯を沸かす。
大根の皮を必要なだけむく。
おろす。しぼる。
湯が沸く。
そば(乾麺)を投入。
そばざる、「つゆ」を用意。
様子をみながら、、。
よし、OK!。
揚げざるにあけ、水にさらし、もみ洗う。
水を代え、これを3回ほど。
水気を切り、そばざるに並べる。
完成。
食う。
つゆに、おろしを、ドカッと入れ。
一息にすする。
うまい。
夢中で食う。
・・・・・
薬味は大根おろしのみ、の蕎麦である。