断腸亭料理日記

鯉こく

1月17日(日)

この冬、2度目のひどい風邪がやっと快方に向かいつつある。

スーパーの鮮魚売り場を歩いていたら
鯉があった。例によって夕方のため半額引き。

鯉というと夏の魚だが、栄養も付くし、鯉こくにしてみよう。

夏の酢味噌で食べる「鯉のあらい」はおつな食べ物。
うなぎ屋の蒲焼きを待つ間のつまみとしていい。
(南千住の尾花で出す。)
やはり夏の落語・青菜にも氷の上にのせて出される。

そこで、鯉こく。これじたいはここ、何年も食べたことがなかった。
食べたのは子供の頃だろうか。

確か、この名古屋の近所だが桑名の七里の渡しの船着き場付近にある
船津屋という老舗の料亭の名物として池波正太郎が書いていた。

作る。

泥臭いものの代名詞。
血もあり、切り身は水によくさらす。

出汁を沸騰させ、鯉を入れる。
さらに味噌(普通の信州みそ)を溶き入れ、煮込む。

他の具はねぎと豆腐。

食べる。

あまりにも泥臭い、という先入観があったためか
思いがけず、身は淡白な味。脂もある。
また、ゼラチン質もあって
白身の鍋料理の魚を食べているよう。
例えばあんこうのような。

拍子抜け。
もっと泥臭く、
いかにも精の付くというようなものだったと思っていた。

最近売られている鯉は清流で飼って泥を吐かせてから
出荷するとも聞いている。だからか。

しかし、まずいものではない。
 
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