断腸亭料理日記

鮎並(あいなめ)煮付け

   4月20日(水)
    今日は作ろう、と思い、オフィスで
     「鬼平料理番日記」(阿部孤柳・小学館文庫)
      の「春」のページをパラパラとめくる。

      ……、

     ドラマ版『本所・櫻屋敷』では、すんでのところ
     で盗賊を取り逃がして仏頂面の鬼平、久栄が
     用意させておいた<鮎並の煮付け>を口にし
      たとたん、
      「おお、この鮎並は骨切りがしてあるな」
     とたちまち相好(そうごう)をくずす。
     「この、悪女房め、亭主の鼻毛をよんだな」。
     なんの変哲もない、普段着の食べ物の旨さこそが、人の気持ちを前へと駆り
     立てる――
     <鮎並の煮付け>は、そんな鬼平犯科帳ならではの「料理哲学」を象徴する
     ような一菜だ。

     ……、

     なるほど。
     鮎並は刺身(寿司)で食べたことがある。
     煮付けも食べたことがあるのだろうが、あまり記憶もなく、
     存在感がなかった。

     遅くまでやっている、スーパーに寄る。
     なるほど、旬なのか、置いてある。
     しかし、高い。一匹\600以上もする。
     高級魚なのだろうか。

     しかたない、ま、買ってみる。
     それから、ボイルあさり。ねぎもある。ぬたにしよう。

     作る。
     水でもいいのだろうが、一応、鰹で出汁を取る。
     出汁に、水、酒、しょうゆ、砂糖。
     煮立て、アルコールを飛ばし、
     洗った、魚を入れる。

     灰汁を取りながら煮る。(今日は、湯通しはしなかった、、忘れた。)
     弱火にして、落とし蓋。

     この間に、ぬた。
     あさりは、さっと、湯を通して洗う。
     ねぎ(長ねぎ)は短冊に切って、ボイル。
     共に、充分に水気を取る。
     味噌は、西京味噌、八丁味噌を1:1。(桜味噌)
     これに、酢、砂糖。酢味噌が出来上がる。

     魚、味が染みてきたら、落とし蓋を取り、鍋を傾け、煮汁を上から掛ける。
     しばらく、煮詰める。
     見た目では、いい感じ。
     完成としよう。

     食べる。
     ビールを抜いて、先ずは一杯。

     鮎並煮付け。
     うん。うまい。
     よく、味わってみると、秋田のハタハタ、または、タラのような味(匂い)があ
     る。
     姿形もそういえば、似たものがある。種類として近い魚なのか。
     この、独特な匂い(魚臭さ)が、ポイントなのであろう。

     今日の味付けは少し、薄かった。
     これは、これで、魚の味がよくわかり、よいのだろうが、筆者はどうも
     魚の身に、しょうゆの色が、グッと染みているくらいの濃さ、が好み。
     鰈(かれい)の煮付けなどでは、そのくらいがいい。

     難しいものである。

     つゆ、をつけながら、食べ、きれいに、飲み干す。
     (このくらいの味付けなら飲めるのである。)
     これも、うまい

     あさりぬた、も、まあまあ。  
 

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