……、
ドラマ版『本所・櫻屋敷』では、すんでのところ
で盗賊を取り逃がして仏頂面の鬼平、久栄が
用意させておいた<鮎並の煮付け>を口にし
たとたん、
「おお、この鮎並は骨切りがしてあるな」
とたちまち相好(そうごう)をくずす。
「この、悪女房め、亭主の鼻毛をよんだな」。
なんの変哲もない、普段着の食べ物の旨さこそが、人の気持ちを前へと駆り
立てる――
<鮎並の煮付け>は、そんな鬼平犯科帳ならではの「料理哲学」を象徴する
ような一菜だ。
……、
なるほど。
鮎並は刺身(寿司)で食べたことがある。
煮付けも食べたことがあるのだろうが、あまり記憶もなく、
存在感がなかった。
遅くまでやっている、スーパーに寄る。
なるほど、旬なのか、置いてある。
しかし、高い。一匹\600以上もする。
高級魚なのだろうか。
しかたない、ま、買ってみる。
それから、ボイルあさり。ねぎもある。ぬたにしよう。
作る。
水でもいいのだろうが、一応、鰹で出汁を取る。
出汁に、水、酒、しょうゆ、砂糖。
煮立て、アルコールを飛ばし、
洗った、魚を入れる。
灰汁を取りながら煮る。(今日は、湯通しはしなかった、、忘れた。)
弱火にして、落とし蓋。
この間に、ぬた。
あさりは、さっと、湯を通して洗う。
ねぎ(長ねぎ)は短冊に切って、ボイル。
共に、充分に水気を取る。
味噌は、西京味噌、八丁味噌を1:1。(桜味噌)
これに、酢、砂糖。酢味噌が出来上がる。
魚、味が染みてきたら、落とし蓋を取り、鍋を傾け、煮汁を上から掛ける。
しばらく、煮詰める。
見た目では、いい感じ。
完成としよう。
食べる。
ビールを抜いて、先ずは一杯。
鮎並煮付け。
うん。うまい。
よく、味わってみると、秋田のハタハタ、または、タラのような味(匂い)があ
る。
姿形もそういえば、似たものがある。種類として近い魚なのか。
この、独特な匂い(魚臭さ)が、ポイントなのであろう。
今日の味付けは少し、薄かった。
これは、これで、魚の味がよくわかり、よいのだろうが、筆者はどうも
魚の身に、しょうゆの色が、グッと染みているくらいの濃さ、が好み。
鰈(かれい)の煮付けなどでは、そのくらいがいい。
難しいものである。
つゆ、をつけながら、食べ、きれいに、飲み干す。
(このくらいの味付けなら飲めるのである。)
これも、うまい。
あさりぬた、も、まあまあ。
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