断腸亭料理日記

南千住 尾花


11月6日(土)
昨夜、妻も帰宅し、やっと週末である。

ストレス解消に、「うなぎを食いに、行こう!」。

さて、どこが、いいだろうか。
池波先生、行きつけの、日本橋高島屋の野田岩へ行って、感動したのは
9月であった。

やはり、ホームグランドともいうべき、「尾花」がいいだろう。
場所は南千住。

ねずみ小僧も眠る、小塚原 回向院の裏あたり、JR常磐線から見える。

門から玉砂利の前庭を通り、広い、玄関へ。

ちょうど、PM6:30。
夏などは、この玄関前で、待たされることもあるが、
季節的なものだろうか、今日は、すいている。

下足札をもらい、広い畳敷きに、黒い漆塗りのお膳の並ぶ、入れ込みの座敷へ。
この入れ込みが、気取らない庶民派、尾花の値打ちである。

あぐらをかいて座り、先ず、うなぎから注文。

注文が入ってから調理にかかる、昔からのうなぎ屋。
「30分以上はかかります」と、張り紙もしてある。

このため、うなぎの注文は最初にすべて、してしまう。
追加注文はできない。
 

注文は、うな重。
思い切って今日は、白焼きも。
それから、つなぎのつまみに、鯉のあらい。ビール。

こういう、老舗の白焼きはうまいが、値段もよい。
今日は、ストレス解消!

「鯉のあらい」をつまみながら、ビール。
魚屋で買ってきたものよりは、当然うまい。
シャキシャキした歯ごたえが違う。

妻と話をしながら、ビールから、酒に。
うなぎが来る前に、出来上がってしまう。

白焼き、うな重、ほぼ同時にあがる。
うな重は後にし、白焼きから。

わさびじょうゆで食べるが、
生臭味など、まったくなく、口に入れると、
とろけるように柔らかく、甘い。
(こうした白焼きは、注文を受けて調理する、店ならではのうまさであろう。
時間がたつと、すぐ、生臭くなる。)

うな重。
ここのたれの味付けは、比較的、薄め、さっぱりしている。

いくらでも、食べられてしまう、というのは、こういうことか。

と、食べていると、妻が、「役者のような客がいる」、という。
振り返って見ると、市川猿之助先生のように見える。

浅草で演っているのだろうか?
一人、なにか、難しい顔をして、冷酒を呑みながら、うなぎを待っている。

この季節の尾花は、落ち着いていて、いいものである。

※平均点  2.737      合計 37人

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