断腸亭料理日記2007

上野・昇龍の餃子と上野の山 その2

1月27日(土)つづき


上野の山、陶器市をやっていたので、安物をいくつか買って、
再び稽古に戻り、歩き始める。


このまま、噴水の方へはいかずに、動物園の正門へ。

親子連れでにぎわっている。
動物園正門に向かって左側に、パンダ形の人形焼(パンダ焼)の
桜木亭。さらに隣に、一軒家の茶店(新鶯亭)などある。

ふと疑問に思ったのだが、上野公園内には、こうした民間の茶店、
うなぎの伊豆栄、精養軒などレストラン、料理屋もある。
上野公園は「恩賜公園」というだけあって、もともとは、
明治以降、国のものであったはずであるし、
今でも都の公園ではないのだろうか。
なぜ、民間の特定の店が入れたのであろうか、、。

ともあれ、新鶯亭の隣が、上野東照宮。
日光東照宮は世界遺産で有名だが、同じ、徳川家康を祀った
東照宮は江戸、上野の山にもある。

いくつもの、立派な灯篭(とうろう)が参道に立ち並んでいる。
右側、塀の向こう、動物園内に寛永寺の五重塔が見える。
この五重塔は1645(寛永16)年の建築。重要文化財。

東照宮の中に入るには拝観料を取られるので、参道の最奥まで行って、回れ右。

ちなみに、東照宮の建物の多くが国宝であるという。
意外に筆者、知らなかったし、実のところ、入ってみた記憶もない。
灯篭に刻まれている年号も、慶安、が多く見られ、
家光の創建当時のもの。
日光の東照宮は有名で何度も見ているが、こんな近所に住みながら
上野東照宮は、見たこともなければ、知識もない、というのは、
やはり、いかがなもの、であろうか。
今度、また改めて、きてみよう。

今日は、稽古の途中、で、ある。

東照宮の参道を出て右に曲がり、坂を下りていくと、
右に伊豆栄の梅川亭、左に精養軒。

不忍池脇を通る通りを渡り、動物園の弁天門(と、いうらしい)を
右に見て、ここから、不忍池の畔に出る。
ここも、けっこう人は出ている。

池に張り出した参道の、弁天堂。
屋台も随分出ている。

このあたりであれば、落語、影清を思い出す。
目の見えない主人公が、先ほど通った、清水様に願をかけ、
帰り道、弁天様にもお参りする。急に雨が降り出し土砂降り。
雷も鳴り出し、雷に打たれて、土橋(今の新橋あたり)あたりで倒れてしまう。
雨が上がって、気が付くと、目が開いていた、という噺、、。
八代目文楽師が有名。

弁天堂にはいかずにそのまま、池の畔をいく。
よくこのあたりでは、春夏であろうか、古道具の市が立っている。
冬の今頃は時期でないのか、今日は何もない。

広小路に出て、交差点を渡り、路地に入る。
アメ横に出て、魚屋。
よく年末のTV中継で出る、あの、あたりである。
親爺が渋い声で客を呼んでいる。
いつも、チェックしているわけではないが、
ふと見ると、店先に、文字通りスミにまみれた、まるのままの
すみいか、一盛り、¥500と書いてある。
6〜7杯はあろうか。これは安いのでは?
まさか、一杯が¥500ではなかろう。
スーパーや一般の魚屋で、すみいかを見ることはほとんどない。
ほとんどが、鮨屋などにいくのだろう。吉池でも、たまに見かける程度。

買ってみる。やはり、一盛り¥500であった。

右に曲がって、海苔屋のあるガード。その先、右側、昇龍。
筆者は、餃子、餃子、といっており、餃子は有名だが、餃子専門店ではない。
カウンターだけであるが、中華料理屋、で、ある。

店頭でも持ち帰り用に売っている。
焼いたもの2パックを買う。1パック、¥450。

上野の山で買った、陶器、すみいか、餃子をぶらぶら、ぶら下げて、
帰り道。

真っ直ぐ、昭和通りを渡り、キムチ横丁を抜け、永寿病院の前の公園
(西町公園)を抜け、清洲橋通りを渡り、白鴎高校前を通り、帰宅。

さてさて、餃子、餃子、昇龍の餃子で、ある。

のどが渇いた。ビール、である。

パック入り。


皿にうつして、食う。


この店の餃子は、有名であるが、否定的なことをいう人も多いように思う。
前にも書いたが、「ここ、うまいか〜?」などというコメントを
書いてくる人もいた。
(おおかた、有名なのでいってみたら、好みではなかった、
ということなのだろう。そもそも、こうしたコメントをしてくる、
というのは、どういう神経なのだろうか。
私は、昇龍の人間でもない。自分でうまい、と、思っているから
書いているのである。そして、うまいまずいは、主観であり、好みの問題。
まずいと思うのなら、自分一人、行かなければ、いいだけの話である。
なぜ、うまいといっている人間に、いわねばならぬのであろうか。
友達でもないのに、、。
議論をしたいのであれば、受けて立つぞ。
それならばまず、お前はなに者だ?名を名乗れ、で、ある。)

見てわかる通り、大きい。
筆者の好みは、焼き餃子は大きいこと。
小さいものも世の中には多いし、有名な店もあるが、
これは好みである。筆者には食べ応えが大切である。

そして、否定的な意見には、ジューシーさがない、
などというものがある。

餃子というとすぐに、ジューシー、ジューシーという人がいるようだが、
焼き餃子にそもそも、ジューシーさを求めるものであろうか。
本場中国の水餃子のようなものは、肉汁を閉じ込める作り方をするが
日本の焼餃子で、筆者はそうしたものを求めない。
(ジューシーさを目指している日本の焼き餃子もあろう。
そしてそれが好きな人を否定しているのではない。)

日本の焼き餃子の作り方では、
きちんと皮を閉じない作り方をするものもある。
(たいした例ではないが、紅虎餃子房、などは、巻いただけで、ある。)
昇龍も、きちんと閉じてはいない。
つまり最初っから、ジューシーさを目指している焼餃子ではないのである。
それが、気に入らない人は、よいのである。

ジューシーさではない焼餃子のうまさ、も、世の中には存在し、
それが好きな人もいる、と、いうことを理解すべきである。

極端なことをいえば、誰が食べても絶対値としてうまいものなど、
この世の中には存在しない。そう思うのは幻想であり、
不遜なことである。
皆がそれぞれ、異なった味覚体験を持って育ってきているわけであるし、
それを誰も否定することはできない。

とにかく、筆者は、この大きな昇龍の餃子が、好きである、
と、いうことを、いいたいのであった。



昇龍 東京都台東区上野6−10−14 
03-3832-0847



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