断腸亭料理日記2006

浅草観音裏・鮨・一新

その1

3月2日(木)夜

読者の方から、メールをいただいた。

「浅草の一新、と、いう鮨屋を知っていますか?」
情報が欲しい、とのことである。

最近は少しご無沙汰であるが、
湯島天神下の一心、ではなく、こちらは、一新、で、ある。

東京いい店うまい店・文芸春秋、にも載っている。

有名店、一般には優良店と、いってよかろう。
(まあ、ここに載っているところで、
ハテナマークがつくところもなくはないが、、。)

ともあれ、調べてみると、江戸前の技にこだわられた、
なかなかおもしろそうな店である。
早速、行ってみようと、思い立った。

まずは、観音裏、と、いうところ。
文字通り、浅草は、観音様の裏。言問い通りを渡った、北側。
基本的には、料亭街、である。

洋食屋のグランド

同じく佐久良など、ある。

そして、千束はその西側。
もつ焼きの、喜美松

なども近所。

ゴロゴロ会館の通り、柳通りを北上。
浅草見番の前を通り、さらに、北上、信号も超える。
その左の路地を入った一角、で、ある。

予約し、妻と待ち合わせ。20時。

格子を開け、店に入ると、先客は三組。
白木のカウンターの真中、ご主人の正面に予約席、と、あった。

名前を言って、座る。

ご主人の年齢は、筆者よりも少し上、45くらいではないかと思われる。
落ち着いて、あたりの柔らかそうな方である。

白木のカウンターに向こう側には、付け台。
ガラスケースはなく、同じく白木の箱が並び、
ねた、は、その中。

白木の箱に入れるのは、ねたが乾燥するのを防ぐため、と、いう。

そして、お櫃は昨年行った、駒形の名店、松波
同様、昔ながらの藁櫃(わらびつ)(藁で編んだ保温用の
カバーのようなもの。
一新のHP(下記)には“つぐら”と書かれている。)に
入れられている。

また、米もガスではなく、蒸かまど、
というもので、炭で炊いている、と、いう。

さて、とりあえず、ビール。

妻が、腹が減っている、というので、
つまみはなしで、おまかせで、握ってもらうことにする。

ざるを付け台の前に置いて、そこに、これからにぎるものであろうか、
ねたを切って並べていく。
松波も同じ事をしていたが、なにか素人目には、干からびてしまいそうである。
ねたを常温にしてから握る、ということであろうか。
あるいは、単に、忘れないように、と、いうことであろうか。

まずは、すみいか。

にぎりは、江戸前、と、いうと、もともとは飯は大きめ、
というところだが、ここは小ぶり、でちょうどよい。
特にいったわけではないが、一個ずつ、で、ある。
また、ニキリ(しょうゆに酒を加え、加熱し、アルコールを飛ばしたもの)
を塗って出される、江戸前式。

鰈昆布〆。

お一人で、四組のお客である、なかなか、
たいへんそうである。

さより。

さっぱりと、あまい。
また、わさびが、かなり、うまいのではなかろうか。
香りが、違うのか、な。

星鰈(ほしがれい)。

これは、ブランド魚。
あまく、しこしことした食感。

こうした淡白な魚は、なおさらに、わさびがうまい。

次は、鯵。

これも、絶妙。
やはり、光物は一流の鮨職人の技の見せ所であろう。

当然、生ぐさくもなく、かといって、光物らしいうまみとあまみがあり、
また、水っぽ過ぎず、柔らか過ぎず、硬すぎもせず。
バランスが取れ、うまい。



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またまた、長くなりそうである。
続きは、また明日。

※店の雰囲気等を鑑み、今回は、写真は抜きです。



HP



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