断腸亭料理日記2006

天神下・鮨・一心

3月27日(月)夜

たまには、ここにも来なくてはいけない。湯島天神下の鮨屋、一心である。

ここがいいのは、なんといっても、鮨がうまいこと。
と、いうと、おかしいようだが、そこそこの値段で、
十二分に、刺身やつまみではなく、
江戸前の握り鮨としてうまいものが食える。
(もちろん、刺身やつまみもよいのだが。)

握り、としてうまい鮨が食べたい。
仕事のしてある鮨が食べたい。
筆者にはそんな時に来たくなる鮨屋である。
(同じ音だが、浅草観音裏、一新も、
近いところではあるかもしれない。)

前回05/12/6

一人でカウンター。
8時前。
例によって、この界隈のクラブへ出勤前、
同伴の女の子や、ママ、そのお客のおとっつあんで、
にぎわっている。

この雰囲気、筆者、嫌いではない。
いかにも上野。猥雑というのか、なんというのか、、。

この客たちをさばくのは、目が鋭く、時折若い衆に
厳しい声が飛ぶ店長。
これを柳に風と、受け流す、若い衆。

そんな雰囲気の中で、ちゃんとした仕事をしているところが
なかなかに、おもしろいのである。

ビールをもらって、いつもの通り握り。
一個ずつ。

まずは、白身。
聞いてみると、今日は白身のオンパレード。

金目、鰈、と、それぞれの昆布〆、真鯛、石鯛。

まずは、金目、鰈の昆布〆からもらう。

金目。脂とうまみがたっぷり。
そして鰈。もう平目の時期は終わり、鰈である。

続けて、真鯛と、石鯛。

真鯛は、明石のもの、という。
皮付きのままで、プリプリとし、あまく、脂もある。

石鯛。
あまり食べたことがないかもしれぬ。
比較的身が柔らかめであろうか。
生臭いというのではないが、磯くさいような
これはこれで、うまい。

さて、次。光物。

さより、小肌。

さよりは肉厚で、あまい。今が旬。
小肌はもうそろそろ終わりであろうか。

貝。鳥貝。
いか、すみいか。
すみいかは、比較的身が薄めだが、この食感がたまらない。

続けて、煮貝、たこ。

煮貝とは、元々は煮あわびのことであるが、
今、塩蒸しの方が多い。ここも、塩蒸し。
甘いタレを塗って出す、江戸前のねた。
これがいつもある、というのも、ここ、一心のうれしいところである。
柔らかく、じわっと、旨みが広がる。

たこもいつもの、三浦半島、佐島のもの。
あまく、柔らかい。
いつもここのたこは、わさびが格別に利いているように
感じるのはなぜだろうか。

忘れていた。

初鰹、で、ある。
これを頼まねば。

今年の初鰹は、先の一新で食べたので、二回目である。
何回か書いているが、
本当にちゃんとしたところで食べる初鰹は違う。
みずみずしく、さっぱりと、あまい。

今日の目玉は、そこそこ食べつくした感じである。

気が付けば、11種。

お勘定。
¥8500

天神下・一心、エキサイティングだが、
充分に満足させてくれる鮨屋である。




住所 東京都文京区湯島3-43-12
電話 03-3835-4922

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