断腸亭料理日記2006
6月18日(日)第一食
さて、日曜日、で、ある。
朝から一度、稽古。
今日は、雨。
昼過ぎ、最後の打ち合わせに、来週の断腸亭落語会の会場、
天ぷらの蔵前いせやさんへ、妻と共に、行く。
そのまま、元浅草を一周して、稽古。
不思議なもので、一日に何度も稽古をすればよいかというと、
筆者の場合、そうでもない。
集中力が続かない。
朝から食べたかったもの。手羽先から揚げ。
それも、蜃気楼風。
昨年10月末にご近所に住む友人のご招待で行った、
新板橋の旧中山道の裏通りにある、不思議な中華
蜃気楼。
その、手羽先から揚げ。
一度、自分で再現して作ってみてもいるのだが、
簡単で、べらぼうに、うまい。
ポイントは蜃気楼お得意の花椒(ホワシャオ)と唐辛子。
花椒は、ご存知の通り、中国四川の山椒。
今日は雨であるが、蒸し暑くなってくると、
こうした、刺激のあるものがよい。
手羽先というもの、安い。
しかし、食い方というと、なかなかこれが、難しい。
よくあるのは、まあ、塩で焼く。
皮をパリッと、うまく焼くのは、なかなか難しい。
しょうゆで甘辛く煮る。これは、ゆで玉子と煮てもよい。
柔らかく煮て、常備菜としても、重宝する。
それから、から揚げ。
手羽先から揚げ、と、いうと、名古屋の名物でうまいものだが、
これも、なかなか難しい。
微かに甘味があり、胡椒であろうか、
ピリッとしたところもあり、微妙な味である。
そこで、昨年おぼえた、蜃気楼風の、花椒を利かせたから揚げ。
これは、そこそこ簡単でけっこう、うまい。
ハナマサで稽古帰りに、手羽先をワンパック、
10本も入っていようか、¥400、程度。
以前には、先に、味を付けて揚げたが、
味を付けるのは、後、が正調蜃気楼風、という情報を聞き、
今回は、後、で試してみる。
たれを作る。
これは、しょうゆ、紹興酒に、赤唐辛子を入れる。
そして、花椒は、ホール(挽いていないもの)がしこたまある。
すり鉢で潰すのだが、花椒は潰してからすぐ食べるのが、
一番香りも、刺激も強い。
そこで、すり鉢に用意をしておくだけ。
後は、揚げ油を熱し、手羽をどんどん上げる。
できるだけ、パリッと、揚げたい。
低温で長い時間、よりも、比較的高温で、短時間の方がよいようである。
(短時間といっても、火が通る程度の時間は必要である。)
揚げ終わって、花椒をすり鉢で手早く潰し、たれに合わせる。
手羽は、出刃包丁で関節を切り、さらに、太い方の骨の間にも
包丁を入れておく。
これも、蜃気楼で教わったが、手羽先はどうしても食べずらい。
これだけでかなり食べやすくなる。
包丁を入れた手羽をたれにからめる。
完成、で、ある。
かなりの量の花椒になってしまった。
このくらいだと、かなり、しびれる
結論からいうと、味付けは、先でも後でも
どちらもあり、か。
先に味を付けておくと、よりパリッと上がり、
後から付けると、当然ながら、湿った感じになる。
しかし、この手羽先から揚げの、ポイントは
花椒と唐辛子の刺激である。
これさえ利いていれば、どちらも可。
時間がなければ、後から。
時間があれば、あらかじめ、たれに漬けておき、
揚げてから、唐辛子と花椒をまぶす方が、
パリッとした食感をより楽しめる。
ともあれ、麻(しびれる)辛さの
蜃気楼風、手羽先から揚げ。
これからの季節には、簡単でよい。
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