断腸亭料理日記2006

第一回・断腸亭落語会

6月25日(日)

さて、落語会、で、ある。

今は26日朝。
落語会が終わって、来てくれた旧友二人と
拙亭で呑んで、19時過ぎ、彼らが帰るとすぐ、そのまま寝てしまった。
そして、今、と、いうことである。

蔵前いせや、さんの二階。
思いがけず、多くの方にお集まりいただいた。

やったのは、天災、と、いう噺。
細かい、いい間違い、間の悪さ、などなど、思い返すと
粗(あら)もたくさんあった。

自分としては立川志らく師の教室に通っていた頃を
100%とすると、60%か70%くらいであろうか。
あの頃はこの天災でも一年をかけて稽古をしていた。
一度やった噺(はなし)でも、あれからもう、8〜9年はたっている。
やはり、芸の道は厳しいものである。
そうそう簡単ではないことが身に染みた。
まだまだ足らない。
負け惜しみではないのだが、志らく師には、この手の噺(はっつあん、
熊さん、ご隠居さんが出てくる、長屋の噺)なら、もう大丈夫ですね、
と、一応、お墨付きはいただいていたのである。
だから、なお更に、悔しいのである。

しかし、随分と笑いもあった。
もともと、天災という噺は、笑いも多い噺である。

噺の構造としては、落語によくある形のおうむ返し、というもの。

大家さんのところに来た八五郎。
離縁状を二本書いてくれ、と、いう。
一本は内儀(かみ)さんに、もう一本は婆(ばばあ、母親のこと)に、
やる、という。
大家さんは、紅羅坊名丸という心学の先生を紹介し、
そこへいって、話しを聞いて来い、という。
紅羅坊先生のところでさんざん茶化しながら話しを聞き、
長屋へ帰って、友達に同じ話しをしようとして
失敗する、というものである。

同じ、おうむ返しは、道灌、つる、子ほめ、などなど、挙げればきりがない。
どちらかというと、落語家の見習いである前座がやる、
前座噺、が多いかもしれない。
ほぼ登場人物は大家さんと八五郎の二人。
構造も簡単で、わかりやすい。
しかし、中でもこの天災は、ある程度カットしても、15分から20分と同系の
他のものよりも長めである。
(道灌や子ほめも長くはできるが、枝葉を落としても成立する。
天災は、必要な部分だけでそれだけの長さがある、という意味である。)

そういう意味で、おうむ返しのなかの大物ではあると思う。

しかしまあ、言い訳にはならない。
まだまだ、稽古が必要。
精進あるのみ。

さて、落語のあとのお楽しみ。
いせやさんの、天ぷらで、一杯。

詳細はここには書かないが、
皆様の初めて筆者を見た感想は、
『思ったより若い(若く見える)。』
『もっと太っているのかと思った。』。
偉そうな文章を書いているので、老けていて、
外食も多く、カロリーの高そうなものを食べているから、
太っている、というイメージをお持ちになったのだろう。
(意外に若いのですよ。42歳にしては。身も軽いし。
身長は170cm、体重は64kg。これをキープするように
努力はしています。)

ともあれ、予想以上の数の皆様に来ていただけたこと。
これはもう本当に、どれだけ感謝しても、しきれぬ思いである。

今回の断腸亭落語会の筆者にとっての成果を二つ。
始めて、読者の皆様へ告知して来ていただけた。
このこと自体、筆者にとって一つ違うステージに入ったような気がしている。
会でお配りしたパンフにも書いたのだが、
こうして“書く”という行為と、“落語を話す”、ということ、
どちらも筆者にとっての表現媒体であり、それを二つながら
曲がりなりにも形にすることができた、ということ。
これを少しずつでも大きくしていきたい。

また、住んでいる地元浅草で落語ができたこと。
これも筆者にとっては大きな成果である。
鳥越祭りで神輿を担ぐ、ということも町のメンバーであることの
一つの形だが、同じ住人としてただ住んでいるだけではなく、
そこで落語をする、表現活動をする、と、いうことで
なんらかの関係を持つことができた、そんな風に思ったのである。

さてさて、落語人、と、名乗ったからには、この日記同様、継続し、
ステップアップせねばならない。

秋なのか、暮れなのか、わからないが、リベンジである。
必ずやらねば。そう決めた。

次回は、今回いらっしゃらなかった方々も、
特に、落語に今まであまり縁のない方にも、来ていただければ
うれしいのだが、、。



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