断腸亭料理日記2006
6月26日(月)夜
さて、落語会翌日。
うなぎが食いたくなっていたのである。
それも、是非とも、小島町のやしま
に来なくてはいけない、と思っていたのである。
実は、である。
特に問題はなかろうかと思い、書かせていただく。
昨日の断腸亭落語会に、ここ、
やしまのご主人が見えられていたのであった。
メールで落語会の予約を取らせていただいたのだが、
ご丁寧に、ご主人は、住所を書かれていた。
その住所、ご近所の小島町、というので、びっくりして調べてみると、
なんと、やしま、の場所。
ご主人なのかどうかはむろん、わからないがいずれにしても、
関係の方であろうと、思ってはいた。
当日、ご当人に伺ってみると、やはり、やしまのご主人その人であった。
いつごろから、この日記を知っていたのかどうかはわからないが、
かなり、細かく読んでいただいていたようである。
それ以前は、やしまさんは、何回も書かせていただいているが、
お店で、ご主人とお話する機会などはなかった。
ご主人はご主人でどの客が、断腸亭であるかなど、わからない。
なにか、不思議な出会い、で、ある。
完全に、面が割れているのは、合羽橋の太助寿司。
ここは、自分から言い出したのではなく、
別のお客さんが筆者のページを印刷して、店に持ち込み
親方が、筆者だと推測して、筆者が訪れた際に
聞いた、というようなことで、判明したのであった。
(ねぎどん、も、面は割れていたかな。)
雷門の色川
のように、カウンターでもなく、普段は、ご主人は外へ
出てこないので、先にも書いたが、お顔も知らなかった。
ちょうど、落語会の時には、なんと、
鳥越祭りの、睦(むつみ、祭りの町内会組織)の揃いの浴衣を
着ておられた。
ご主人は睦の役員さんで、なにか集まりがあり、
その格好のままで来て下さった、ということであった。
これが実に、“ようすがいい”のである。
紺地に、町の名前を白く染め抜いたものである。
ごま塩頭で、丸い眼鏡をかけられ、とてもあたりが柔らか、
紳士な感じだが、話しをすると、ヒとシが、時折、混ざってしまう、
いい感じの江戸弁。
お年ははっきりとは、書かぬ方がよかろうが、
筆者と十歳も違わず、意外とお若い。
そもそもの、お店の由来をうかがった。
もともと、この場所で、お家は鉄工所を営んでおられたらしい。
(今でも、八島鉄工という看板が掛かっているので
ちょっと、不思議ではあったのである。)
しかし、ご主人は、たまたま、つてがあって、
雷門の初小川。その先代の親方に惚れ、学生時代に弟子入りし、
修行。独立し、この場所でうなぎや、やしま、を始められた
と、いうこと。
やはり、由緒正しい、筋金入りであった。
お店に初小川さんの名前の入った色紙であったか、
掛けられていたのと、蒲焼の味が、初小川にかなり近いので
修行されたのでは、と、思っていたのであった。
それは、当たっていた。
そんなわけで、昨日の今日。
お礼方々、無性にうなぎが食いたかったので
来たわけであった。
今日も、お酒と、うな重。
おいしかったのは、むろんのこと。
それ以上に、この日記と落語会のお陰で、
地元とまた、よいご縁ができたこと。
これが今日はとてもうれしかったことである。
やしま
TEL 03-3851-2108
東京都台東区小島2丁目18−19
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