断腸亭料理日記2006

西浅草・手打ちそば・おざわ

7月30日(日)第一食

稲荷町にあった、そばや・おざわ

この春頃であろうか、もう少し前であろうか、
西浅草の、どぜう飯田屋の近くへ移転していた。

移転をして日曜日もやっているらしい、という話を聞いた。
それは“しめた”。遅く起きた昼過ぎ、郵便局へ行くついでに、
竹皮表(たけかわおもて)の草履を突っかけて、自転車で出る。
長引いた梅雨もようやく明けた。
暑い。

こういう店が、日曜もやっているのは、筆者などにはうれしい。
近所に住んでいながらも、ウイークデーには、なかなか
こられない。
昼はむろんこられないが、夜も早い。

浅草郵便局は浅草通りと国際通り、田原町交差点の
北側、浅草通り沿いに、ある。
その郵便局の路地を北へ入る。
そのまま直進。
この路地はそのまま行くと、突き当たりが飯田屋。
その手前、左側、ビルの一階、麻の暖簾が下がっている。

入ってみると、稲荷町の頃と比べると、大分に広い。
女将さんに、比較的大きなテーブルに、案内される。
先客は、一人客がちらほら。

稲荷町の頃はご店主と女将さん二人でやっておられ、
なかなかたいへんそうであった。
こちらへ移り、店も大きくなり、調理場はもう一人女性が
増えている。

ここへくれば、迷わず、太打ち、なのであるが、
時によって、切れていることもある。
聞いてみると、ある、と、いう。
よしよし、大盛にしよう。

しかし、今日は、やっと、と、いうべきか、暑くなった。
こんな時間からで、少し迷うが、一杯だけ、、。
一合ではなく、グラス、と、いうのがあるので、
これでもらおう。ここも吟醸系が多い。高知の酔鯨にする。

グラス、といいながら、陶器の湯呑みである。

一口二口呑むうちに、そばがくる。

太打ちは、大盛にしないと、笊の上に、わずかばかり、になってしまう。
やっぱり大盛。

一本一本をつまんで、つゆにつけて、食う。
そばの場合、よく、手繰(たぐ)る、などというが、
これは、まぎれもなく“食う”感じで、ある。
長さはちょうど一口で食べられるくらい。
計算してあるのだろう。
千切る必要はない。

そばやの酒は、そば前、などというらしいが、
そばを食べながら、つまみにして、呑んでも、合う。
太打ちの場合は、なおさらである。

半分ほど残っていた酔鯨を呑みながら、わさびを箸先で取り、
そばにつけては、食べる。
幸せである。

食い終わり、そば湯ものんで、勘定をしていると、
女将さんが、「稲荷町の頃、来ていただいて、、?」
「家があっちの、近所なんです」
「職人さんですか?草履履いてらっしゃるから」
「え?ああ、これは、お祭りので、、」
などと、他愛ない会話。

この店は、ご店主のうまいそばは、むろんだが、
かわいい女将さんとで、これからも、繁盛であろう。

住所:東京都台東区西浅草2-25-15
電話:03-3841-6450
店名:手打ちそば・おざわ




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