断腸亭料理日記2006

小石川・播磨坂とイタリアン

7月5日(水)昼

午後、小石川の得意先へ。

今日は、朝から雨。
それも時折強く降る。

オフィスのある市谷からは、南北線で後楽園、丸の内線で茗荷谷。
(大江戸線牛込神楽坂から乗って春日(後楽園)でもよい。)

昼、界隈で食べようと思い、ちょっと調べると、
播磨坂、付近にイタリアンが何軒かあり、評判も上々のよう。
営業とは茗荷谷の駅で待ち合わせであるが早めに行って、
食べてから戻ることにする。

この界隈、筆者あまり土地勘、が、ない。

茗荷谷というと、筆者母校の、筑波大学の同窓会である、
茗渓会の茗渓会館があり、後輩の結婚式やらで、何回か
来たことがあった。
(そうであった、思い出した。この結婚式で、やり始めの下手な落語を
やったのであった。ちなみに、ねたは、たらちね。)

少し、調べてみた。
茗荷谷駅前を春日通りが通る。
春日通り自体は、本所を横切った亀戸天神手前の横十間川から始まり、
厩橋で隅田川を渡り、拙亭近所である、元浅草の南を通り、
御徒町、湯島の切通しを上がり、本郷三丁目、富坂を下って
春日、再び坂を上って、茗荷谷、その後は大塚、池袋、
そして、川越街道(国道254)になる。

春日通りは小石川の台地のちょうど尾根を走り、
ここを境に町名は、北東側が、小石川、南西側が春日から、
茗荷谷の谷、小日向となる。
そしてさらに北東側は、小石川植物園の白山となる。
界隈は筑波大の前身である旧東京教育大学(筑波大付属小)、
御茶ノ水女子大、跡見女子大、学芸大付属竹早小学校などある、
学校の町。

台東区の旧町名同様、文京区の旧町名もほとんど見る影もない。
小石川という地名も区の名前であったくらいで、このあたり一帯が
小石川である。
この播磨坂のあたりは、竹早という言い方が本来であったようだ。

さて、茗荷谷駅から播磨坂まで、強い雨の中、歩く。

播磨坂は春日通りから、北東へ植物園前までの広い通り。
ゆるやかな坂で、真ん中に遊歩道がある桜並木。
文京区でも知られた桜の名所のようである。

この播磨坂は、古いものかと思うと、そうでもない。
できたのは戦後であるという。


江戸の地図を見ると、通りの北に、松平播磨守(常陸府中藩・現石岡市)
の屋敷があり、坂の名は、そこから取ったらしい。
播磨守邸の北は田んぼ。
その北が、今の小石川植物園である、幕府の薬草園(御薬園)。
(播磨守邸の西隣には、キリシタンヤシキ、なる文字も見える。
これはなんであろうか、と疑問になり、少し調べてみると、
江戸時代、切支丹を隔離する目的で作られた施設であったらしい。
切支丹屋敷は各地に作られたらしく、その内、江戸に作られたのが
ここの小石川切支丹屋敷であったようだ。現在、切支丹坂という名前の
坂も近くにあるが、上の地図の切支丹屋敷の場所とは違い、
丸の内線のガード付近。由来は不明である。)

さて、現代の播磨坂である。
文京地区にふさわしい瀟洒なマンションが
立ち並ぶ、高級住宅地といってよかろう。
そこに、なん軒か、イタリア料理の店が、ある。
その内、今日は、春日通りから播磨坂へ曲がってすぐ右側。
タベルネッタ・アグレストという店。
安くてうまいという。

なかなかおしゃれな建物。
階段を昇って、入り口。
入ると、道側と、奥側で席が分かれており、
真ん中が厨房。

喫煙が奥側ということで、奥へ通される。
奥は、思ったよりも広い。
地中海風の塗り壁に、天井は晴れれば開けられるようになっているのか、
くもりガラスで、外はどしゃ降りであるが、とても明るい。

パスタランチ¥900(サラダ、コーヒー付き)の中から、
タリアッテレ・ハムと松の実のバジリコクリームソース、を
もらう。
(パスタランチにはピザもあるようである。これも薄めで
うまそう。)

昼少し前に入ったが、お客さんはどんどん入ってくる。
近くの子供連れの奥様連、サラリーマン、OL、そんなところであろうか。

パンは、フォカッチャ。

タリアッテレはフェットチーネとほぼ同様の平たい麺。
(言葉の使い分けは、イタリアの地域によるようである。)
ここのものは、手打ちと思われる。
バジリコのクリームソースということで、
色はグリーンで、ちょっと塩気の強いハムと、松の実が入ってる。
味の加減もよく、うまい。

これで、コーヒーも付いて、¥1000を切るのは、安い。
サービスも、なかなかきびきびしている。

どしゃ降りの中、再び傘を広げ、桜並木(むろん葉桜)の播磨坂を降り、
植物園の前まで行き、再び上がって、茗荷谷駅まで戻る。




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