断腸亭料理日記2006

鯵のたたき

7月2日(日)夜

7月になった。
相変わらず、東京は蒸し暑い日が続いている。
雨も降ったりやんだり。

気温は真夏のものではないが、
まったく、熱帯にいるようである。
パンツ一丁でいても、暑い。

朝起きて、午前中は家で仕事。
第一食は、鮭を焼いて、大根の味噌汁を作って、
飯を食う。

味噌汁は、煮干で出汁をとる。
先日の取材から、煮干で出汁を取ることに、なにか、凝ってしまった。
煮干は大量に入れる。
取材の時に、調べたのだが、今まで使っていた量よりも
適正量は、かなり、多めであった。
(水400ccに対して20g程度)
味噌汁二杯分くらいで、ザクッと、ひとつかみ。
以前は、頭と腹を取っていたのだが、大量の煮干、
それも小さなものの、腹と頭を取るのは、面倒である。
(お徳用、などという安いもので、これがまた一匹が小さいのである。
頭と腹を取るのなら、大きいものでなければ、とてもできない。)
そこで、そのまま。
ザクッと、つかんで、水へ入れ、30分浸す。
これだけで、出汁が出て、水には色がついてくる。
拙亭には金製の深めの笊がある。これに煮干は入れておく。
そのまま、笊の外に千六本に切った大根を入れ、火にかける。
煮立ってしばらくしたところで、笊をあげる。
これで、漉さなくともよいし、
野菜は、水から煮ることができる。
野菜の場合は、煮立ててから入れるのではなく、
水から煮た方が、野菜のうまみが出る。

さて、夕方、出かけたついでに、
田原町の赤札堂を覗いてみる。

夜はどうしようか、外で食べてもよいと、思っていたのだが、
赤札堂では、鯵が安い。
大きいものではないが、六匹ほどで、¥290。(長崎産)
これはかなり安い。
それから、やりいか。一杯¥100。これは二杯。(新潟産)
¥500もしないで、随分、豪勢である。

鯵は、たたきと煮びたし、にしよう。

帰宅。

まずは、鯵を三枚に下ろそう、、、。

っと、その前に、包丁を研ごう。

しばらく、研いでいなかった。
このところ、やはり、湿気が多いせいだろうか、
洗ってよく拭いていおかないと、すぐ錆がついてしまう。

砥石を水に浸けよく水を吸わせる。

先ずは、出刃、から。
昔は刺身包丁も使っていたが、これはご存知のように刃が薄く
安いものだったせいか、すぐ刃が欠けて、今は刺身も、出刃を
使っている。
そして、ステンレスの洋包丁三本。
いつも使っているものを全部研いでおく。

OK。

さくさくと、鯵を下ろす。
皮を引く。

中骨は取っておく。これも焼いて、つまみにする。

三枚に下ろした鯵は、ペーパータオルで水分をよく拭き取って、
一度、冷蔵庫に入れておく。

ねぎを微塵切りにし、生姜を下ろす。

冷蔵庫から、鯵を出し、細かく切り、
ねぎと和える。
皿(鉢)に盛り付け、もう一度、冷蔵庫に。

煮びたしも一気に作る。
残りの三匹をガスレンジで素焼きにする。

鍋に鯵、水、しょうゆ酒。アルミホイルで落し蓋をし、
煮込む。
そう長い時間は必要なかろう。三分程度か。
あとはそのまま、冷ます。

さて、中骨。
塩をし、オーブントースターで狐色まで、
こんがりと焼く。
ここまでやれば、パリパリで、うまい。

さて、冷蔵庫から、たたきを出し、
中骨、茄子の漬物。
茄子は、取材の時に塩漬けにしたものだが、
古漬けになってしまった。
食べてしまおう。薄く切って、カツブシをかけて
しょうゆをふる。

これだけでよい。
煮びたしは、またにしよう。



今、外では、あまり食べることもないが、
筆者にとって、鯵のたたきは、少し特別なものである。

子供の頃から好きであったが、
いつ頃であろうか、二十代だったか。
自分で魚を下ろすようになった頃から、
下ろす、と、いうと、鯵。
むろん、鯵は安い。一匹¥100。
そういえば、今でも、あまり値段は変わっていない。

鯖、鰯、と、青魚は安くてうまい。
なかでも、鯵が、それもたたきが、よい。
多少、ものがよくなくとも、たたきにすれば、
うまい。

年中あるが、やはり、今この時期の味覚。
鯵のたたき、で、ある。





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