断腸亭料理日記2006

路麺二題・

小島町アズマ、牛込柳町白川そば

さて、今日は、路麺二題。

やはり、たまには書いておきたい。
路麺とは、改めて、説明した方がよいのかどうか、、。

最近あまり書いていなかったため、
読者の方で、ご存知ない方もおられるかもしれない。
きちんと書いておいた方がよかろう。

筆者の路麺ページにも定義のようなものを書いている。

ようは、立ち喰いそば屋なのであるが、
チェーンではなく、駅構内にあるものでもなく、
自家営業というのか、個人に近い形で
営業しているところのことである。

路麺という言葉の由来は、筆者が作ったわけではないので
あまり断定的にはいえないが、道路に面している、
麺屋、と、いう洒落、で、あろう。
(路傍の麺という説明もあった。)

また、高級ブランドなどで、百貨店などに
テナントとして入っているのではなく、
道路に面して、独立して店を構えているものを、
路面店というが、その洒落もあると思われる。

では、その路麺のなにがよいのか。

実のところ、この日記を書くようになってから
筆者もいくようになったのであるが、まずは、
そのレベルの高さに驚かされる。

値段はむろん、立ち喰いそばの値段であるから、
¥300〜400、天ぷらなどいろいろ入れても、
¥500を超えることは滅多にない。
しかし、その値段では、想像もつかないほどの
うまいそばやうどんを提供してくれる。
生そば茹で立て、天ぷら揚げたてなど、ざらにある。

街のそば屋はもちろん、
昨日今日できぼしの趣味そばも、
裸足で逃げ出さねばならない品質を持っているところも
少なくない。

その上、どこも決まって、愛想がよく、店自体に味がある、
と、いうのも特徴の一つに挙げられよう。

これはまずは、自家営業だから、ということであろう。
経営努力、といってしまうと簡単であるが、
客を送り出すときの、「ありがとうございます」という
言葉一つをとっても当然ながら、チェーンの立ち喰いそば屋とは
心のこもり方が違う。

もっというと、この心のこもり方は、立ち喰いそば屋、という業態だから、
という気がするのである。

多くは浅草、下谷、神田、日本橋、などなど、いわば、
(旧)下町にある。
そして、店構えもむろん、大きくはない。

市井(しせい)の東京庶民の中の業態、とでも
いったらよいのであろうか。
あたり前だが、大々的に宣伝するわけでもなく、
おしゃれな内装をしているわけでもなく、
売り物としては、うまくて安い、心のこもった一杯のそばを
お客に出す、ということだけ、なのである。

これは、食い物屋としては、基本中の基本。
考えてみれば、あたり前のことなのだが、
現代の東京において、まったく稀有な存在ではなかろうか。

そんな、愛すべき、東京の路麺、なのである。

今日の二軒は、台東区小島町のアズマと、牛込柳町の白川そば。

アズマは元浅草の拙亭に最も近い。
春日通りと、清洲橋通りの交差点にある。
このところ、週に2〜3回は、朝、地下鉄に乗る前に寄っている。

これは春菊天そば。
路麺では春菊はオーソドックスであるが、
ここのものも、普通にうまい。
そばは茹で麺で、天ぷらは揚げたもののストックであるが、
なんといっても、近所である、ということで
最も食べる頻度が多くなっている。
多くは、ノーマルな野菜かき揚げ。
玉ねぎがまた、あまくてうまいのである。
また、今日など、二日酔いの朝には、玉子のみ、ということもある。

そして、牛込柳町の白川そば。
住所は正確には、原町になると思われるが、
外苑東通りと、大久保通りの交差点から、
若松町方向に坂を上った左側。坂の途中である。
ここは、筆者のオフィスに最も近い路麺、ということになる。

まあ、近いといっても、歩いて10分強はかかる。
だが、それだけのものはある。

ここの特徴は、うどんでもそばでも、つゆが澄んでいること。
まったくもって、東京には珍しい。
そばも悪くはないが、やはり、うどんがよい。
ここのうどんは、ひもかわ。
そして、筆者は決まって、きざみ(油揚げのきざんだもの)に玉子。
揚げ玉とわかめが載ってくる。

つゆもいつも最後まで飲み干す。

これは、実にどうも、うまい、のである。



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