断腸亭料理日記2006

肉豆腐

12月8日(金)夜

朝起きたら、歯が痛かった。
いや、と、いうよりも、歯が痛くて起きてしまった、
と、いったほうが正しい。

虫歯ではない。歯ぎしり、なのである。

筆者、歯ぎしりをする。
いつ頃からか、よくわからぬが、内儀(かみ)さんに聞くと、
昔からだ、と、いう。

むろん、以前は自分が歯ぎしりをしていることは気が付いていなかった。
ここ何年かひどくなり、朝起きると歯が痛い、ということがあり、
また、寝ていても自分の歯ぎしりの音で、
目が覚めてしまう、と、いうこともあるようになったのである。

おおかた、ストレス、と、いうことなのであろう。

以前に歯医者にいき、マウスピースを作らされたが、
これは気になって寝られず、結局使っていない。

今日は、音よりも、痛くて目が覚めてしまったのである。

鎮痛剤を飲み、痛みとしてはある程度抑えられ、
仕事や会議に集中していれば忘れていられる
と、いう程度ではあるのだが、困るのは物を食うことである。

痛いのは右の奥歯と、その歯ぐきなのであるが、
そちら側で、ものをかめないのである。

さて、夜。

今週もかなり、仕事はきつかった。
ただ忙しい、ということだけではなく、
プレッシャーの強い内容が続く、というのは、
心身ともに疲れる。
結局、歯ぎしりの原因も、このあたりにあることは
よくわかっている。

ひとまず、今日は帰ろう。

なにを食おうか。
とにかく、柔らかいもの。

かまなくってもいいもの、、、?
酒か!

いやいや、今週は、忘年会などもあり、少し呑み過ぎ。

湯豆腐?
これは、この前、蛤で、やった。

うん、いずれにしても、豆腐だ。

豆腐、豆腐、、、、。

コートの襟を立てながら、駅まで歩く間、考える。

鍋で、肉豆腐。
温かいし、よかろう。

冷凍庫に豚肉が凍っている。
あとは、しらたきに、ねぎ、でいいか。

スーパーで、しらたきと木綿豆腐二丁を買って、帰宅。

このところ東京も寒い。
今日の最高気温も12℃であったようだ。

火鉢に火を入れて、燗でもつけよう。
毎度のことだが、鍋と鉄瓶は同時にかからない。
鍋は、別に調理する。

火熾しに炭を入れ、ガスにかける。

肉豆腐。
まずは、豚肉の解凍。

切る。

熾きた炭は、火鉢に移し、鉄瓶をかけておく。

豆腐も切る。
しらたきも、洗って切る。

つる付きの鉄鍋風のアルミ鍋。

これ、イメージは、よく、囲炉裏にかかっていそうな、あれ、で、ある。
以前の取材用に買ったものである。
本当は南部鉄などの鉄鍋も売られているのだが、高価でもあり、
また、鉄は重いので、ちょいと安いアルミ製の黒いものを
買ったのであった。

水を張り、肉を入れ、火にかける。
沸騰してくると灰汁(あく)が出る。
灰汁を取る。

弱火にし、しょうゆ、酒、砂糖。
少し、甘め、に、する。

しらたきを先に入れる。
豆腐は煮過ぎると、すが入るので、少しずらす。

ある程度しらたきに色が付いてきたところで、
豆腐一丁を入れ、ふたをして、煮込む。

火鉢の様子を見る。
鉄瓶はよい加減に、熱くなってきている。

冷蔵庫にあった、切干大根の煮たの、なぞを軽く温めて出し、
お膳に、酒、銚子、猪口、箸、肉豆腐の取り皿などを出し、準備。

ひとまず、座り、燗をつける。
銚子に酒を移し、鉄瓶に突っ込む。

待ちきれず、少し冷で呑み、切干大根をつまむ。

立ち、肉豆腐の様子を見る。

豆腐にも色が付いてきた。
最後にねぎを斜めに切って入れ、再度、ふたをする。

燗もついた。

二、三杯、呑む。

肉豆腐もよかろう。
鍋ごとお膳に移す。


まあ、肉豆腐、で、ある。
特段のものは、ない。
どうも歯が痛いと、しかたがない。

豚肉は、なかなか、かめないので、
もっぱら豆腐と、ねぎとしらたき。

ねぎもうまい。

しかし、豆腐というものは、温まる。
燗酒と、温かく、甘辛い豆腐。
それなりに、よいものでは、ある。

燗酒二合で、豆腐一丁、まるまる食ってしまった。



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