断腸亭料理日記2006

断腸亭、メキシコ・カンクン、

コスメルへいく。その3

さて、断腸亭・メキシコへ行く、今日は三回目。

メキシコ料理も3日、4日となると、段々飽きてくる。
そんな時には、イタリアン。

外国にきて食うものに困ると、チャイニーズか、イタリアン。
これならば、どこへ行っても日本人にも食べられる。

メキシコの離島、さすがに、コスメルには中華はない。
しかし、イタリアンはメキシコにも多い。
コスメルのダウンタウンにも数軒はある。

やはり、イタリア料理店はよい。
特別な有名店でなくとも、妙な言い方だが、
魚を魚として、きちんと食べられる。

日本名でなんというのかわからないが、
wahoo(「ワホー」であったか、、?)と呼ばれている、白身の魚である。
外は香ばしく、中を半生にして、焼いてある。
新鮮な魚に、こういう微妙なことをして食べさせられると、
魚に餓えた日本人としては、ほんとうにうれしくなる。

クエンティン・タランティーノによれば、
「義理人情」を理解できるのは、世界で日本人とイタリア人だけであると、いう。
魚をうまく食うことを知っているのも、日本人とイタリア人だけであろう、
と筆者は思う。

下に見える、付け合せのジャガイモのマヨネーズ焼き
(と、いうのであろうか。マヨネーズ味のジャガイモである。)
のジャガイモへの火の通り方も硬からず、柔らかからず
ちょうどよい感じでうまい。
(ここのシェフが、上手い、のかも知れぬ。)

ともあれ、イタリアンはよい。
世界中どこへいっても、はずれはない。
(これは、コスメルのダウンタウン、ギドス、という店)

さて、そんなわけで、メキシコのダイビングリゾート、コスメルで4日。
5日目、朝、ホテルをチェックアウトし、フェリーで大陸側、
プラヤ・デル・カルメンの町へ移動。
この町のダイブショップから車で、セノーテダイビングに向かう。

このプラヤ・デル・カルメンという町は、コスメル島へのフェリーが発着する
桟橋を中心として、おみやげ品やブランド物を売る店、
レストランなどが入っている、おしゃれなモールなどあり、
そこそこ賑わっている。
しかし、裏通りへ入れば、そこは普通の地方の町。そんな感じであろうか。
公園には屋台のタコスや、なぞも出ている。

さて、セノーテダイビング、で、ある。

セノーテとは、このあたり、ユカタン半島地方にある泉のこと。
これはその昔、マヤの人々の飲み水であったという。
セノーテは、泉といっても、山の中に開いたクレーターのような池と、
そこに続いている地下の洞窟からできている。
この地方は石灰質の平な地形と地質で、降った雨はすぐに染み込み、
地下水となり、あるところで井戸のような形をした泉として、地上に顔を出す。
セノーテダイビングは、この泉(クレーター)、兼、洞窟に潜る、
淡水ダイビングなのである。

どうも、日本人は、こうしたダイビングにはあまり向いていないらしい。
しかし、欧米人はこうした、海でも洞窟に潜るケーブダイビングや、
レックダイビング(「沈船」)と呼ばれるが、沈んだ船に潜るダイビング、
など、探検系のものが大好きである。

セノーテは、ジャングルの山の中にある。
33℃以上の暑さ、ウエットスーツを着て、タンクをしょって、
よっこらさ、よっこらさ、登って降りて、、。
そして、泉の水は地下水である。
冷たい。外気温との差は、10℃以上あろう。
30分も潜っていられない。寒い寒い。
なにか、我慢大会か、八甲田山ではないが、
トレーニングをしにきたようである。

(これはセノーテの地上に見えている部分。
ここから、水中、奥深く、続いている洞窟に潜るのである。)

洞窟の中は、いわば、水中の鍾乳洞。鍾乳洞に地下水がいっぱいに入り、
その水に潜る、というイメージである。石柱などが、水の中にある。
当然真っ暗。ライトを持っては入るが、ちゃちなものでは、
地下の洞窟が大きいため、光が届かず、よく見えない、魚もほとんどいない。
寒いし、暗いし、怖い。

まあ、ここで愚痴っても、仕方がない。
もし、これから、カンクン方面へ出掛けて、
セノーテダイビングをしてみようかどうか、迷っておられる方、
よほどの洞窟好きか、冒険好きでないのあれば、
お勧めはしない、と、いうことである。

苦行のようなセノーテダイビングを二本こなして、
一度プラヤ・デル・カルメンに戻り、そこから、車で北上、カンクンまで。

(断っておかなければならないが、セノーテそれ自体はむろんのこと
メキシコの、世界に冠たる貴重な自然遺産でもあり、また、
同時にマヤの文化遺産でもある。
そして、いうまでもなく連れてきてくれた
ダイブショップやガイドに責任があるわけでもない。
セノーテダイビングとはこういうものであったということ。
それを知らずに、我々のようなリゾートダイバーが来てはいけなかった。
すべては選んだ我々の責任である。
せいぜい、話の種に、外から眺めるか、
シュノーケリング程度で十分であった。)

2時間弱、車を飛ばす。
右側にカーブを切りカンクンのホテルエリアに入っていく。
カンクンのホテルエリアは、ユカタン半島のカリブ海側の先端である。
ラグーン(内湾)がありこれを囲む外縁の南北に長い砂洲。
この砂洲にズラッと、世界でも指折りの高級ホテルが並んでいるのである。

離島の大自然の海、山の中の探検をしてきた我々の眼には、
まったくの別世界。原始人から、21世紀の文明人にやっと戻れた。
そんな気分になったものである。

さて、今日はここまで。
明日はおそらく最終日。
最後で最大のイベントである!。



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