断腸亭料理日記2006  

断腸亭料理日記池波正太郎レシピ

資生堂パーラー・

日本橋高島屋店

4月30日(日)夜

夜、で、ある。

昨日の夜、なにか、TVででもやっていたのであろう。
筆者の日本橋高島屋、野田岩のページ
のアクセス数が、妙に高かった。

そうであった!。忘れていた。
うなぎの季節到来である。

この陽気になれば、うなぎ、である。

銀座線で、18:00、日本橋到着。

新館、特別食堂へ、向かう。
エレベーターが開き、フロアーに足を踏み入れる。
と、先客、が案内の店員と話をしている。

店「ええ、、、。でも、野田岩さんは、売り切れになってるんですよ」。

ありゃ、りゃ。

それはそうであろう。甘かった。
筆者のようなページのアクセス数が上がるくらいである。
大量の人が今日は押しかけたのであろう。

すごすごと、回れ右、、、。

はて、どうするか。
野田岩のうなぎ、のことしか頭になく、まったく
他の選択肢を考えていなかった。

困った。

他のうなぎ屋へ行く気もしない。
この高島屋の新館には、この特別食堂以外にも
6階に、テナントのレストランフロアがある。
少し覗いて見るか。

と、資生堂パーラーがあった。

資生堂パーラーといえば、むろんのこと、本店は銀座。
そして、ここは、池波正太郎先生御用達し、
池波レシピ、で、ある。

先生が、戦前、株屋の小僧時代から、通ったところである。

いい時代、というのだろうか。
先生が10代の頃である。高価で、ハイカラなこういうところに
出入りをしていたのである。
戦後も先生は、銀座の本店へはよく足を運び、
「今日の、○○は、まずい!いかがなものか」
などと、文句をつけていた、なんということも、自ら
お書きになっている。
まったく、先生ならでは、で、ある。
そりゃあ、そうであろう。10代の頃から、通っていれば、
なにをいっても、いい。

ともあれ、資生堂パーラー銀座本店。
筆者は、足を踏み入れたことはない。
東京の洋食は、安くはないことは、むろん、知っている。
しかし、ビーフカレーライス、¥3000、は、いかになんでも、
高いであろう。

テナントの入り口に、メニューが出ている。
見てみると、そこまでの値段ではない。
本店と、値段が違うのである。

入ってみるか。

お客さんは、特別食堂同様、お金持ちそうな、老夫婦やファミリー、
そんな印象である。

ビールをもらう。

メニューは決まっている。
ミートクロケットと、チキンライス。

ミートクロケットは、ライスかパンが付いているが、
このライスをもらわないで、チキンライスにする。
これが、池波流なのである。
以前に、作品で読んでいたが、
「ライスを、チキンライスにかえる」の本当の意味がやっとわかった。

「一緒にお持ちした方がよろしいですね」
「はい」

とても、お上品で、ちゃんとした接客態度である。
また、厭味な印象もない。

ビールを呑みながら、待つ。
このビール、ピルスナー、といっていたが、
なんであろう。オリジナル、ではなかろうか。
微かに、フルーティーな印象がある。

先にナイフフォークと共に、福神漬け、らっきょうなどが、
テーブルに置かれた。
これをつまみに、ビールを呑む。

さて、運ばれる。


おおこれが!

なにか、やはり、感動がある。
白い大きな皿。金のライン。奥中央に、同じく金の資生堂のロゴ。

ミートクロケットは、濃いオレンジ色のソースが敷かれた中央に2個。
そして、フライされたパセリが載っている。

ナイフで切って食べてみる。

ミートクロケット、という名前で中はどんなものか、想像がつかなかったが、
クリームコロッケである。
ようは、ソースよりも具が多い、ということなのであろう。
肉は小さなサイコロ状に切られた鶏肉。
この鶏肉が、うまい。
なんというのであろうか。
肉もよいのであろうが、クリームソースで煮込んでいるというのでなく、
きちんと、鶏肉として主張している、というのか、鶏肉として
しっかりしている、というのか。

また、素揚げのパセリ、と、いうのもなにか、新鮮な感じがする。
とくに、びっくりすることはないはずだが、こんなものもうまい。

ソースはトマトベースなのであろう。
酸味が強めでこれもうまい。

チキンライス。
これは、まあ、クロケットほどの驚きはないが、
ふつうにうまい。

うまかった、うまかった。
これ、本店と同じ味なのであろうか。

お会計、¥3570。

なかなか、よいんじゃなかろうか。
野田岩のサブであったが、今日はちょっとめっけもの、で、あった。

資生堂パーラー

池波正太郎レシピ


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