断腸亭料理日記2005

切干大根煮

12月17日(土)第二食

切干大根、で、ある。

先日、この日記でも書いている、千束のもつ焼き、
喜美松へ、友人を連れて行ったのだが、
このときに、お通しで出た、切干大根の煮たの、が妙にうまかった。

切干大根、などが、うまく感じる、のは、年のせいなのか、
とも、思うが、そればかりではないような気もする。

もちろん、喜美松のものが、ちょっと、工夫がされていて、
うまい、ということもある。

しかし、切干大根など、筆者は、いままで、むしろ、どちらかといえば、
どうでもよいメニュー、であったことを思い出す。
年を取ったから、うまい、と、感じたのも確かであろうが、
これは、今まで食べてきた、切干大根の煮たものが、
はっきりいって、まずかった、そういうことのように思うのである。

これは、実は、切干大根に限らないのだが、いわゆる、この手の
お袋の味的な、煮物。ひじきの煮付け、なども、これに当てはまる。

我々の世代の多くは、これらのメニューといえば、
母親の手料理という人もあろうが、どちらかというと、
小学校の、給食、を思い出すのでは、なかろうか。
筆者は、そうである。

今、考えると、当時は、これらをおかずに、牛乳を飲まされ、
食パンや、コッペパンを食べさせられた。
今考えると、組み合わせが、滅茶苦茶で、ある。
戦後の食糧難からの流れで、こうした給食になっていたのも
当時とすれば、仕方のなかったことかとも、思う。
しかし、現在、食育、などということを、農水省や、文部科学省も
盛んに言っているのは、どうにも、ご勝手な印象は拭(ぬぐ)いえない。

当時の給食のおばさん方を責めるつもりは毛頭ない。
(仕組み、の問題である。)
今でも、筆者の会社の会社の社員食堂などもそうである。
こうした、給食の類は、どちらかというと、栄養士が、栄養や、
身体のこと、そして費用から、メニューを考えている、と、思われる。
むろんのこと、それらも、大切なことであるが、
そこに“うまい”、と、いうことが存在していたのかどうか、
筆者が思うに、はだはだ、怪しい。

そんな背景で、切干大根や、ひじきを、大してうまいものでない、と
思っている同世代は、少なからず、いよう。

ともあれ、喜美松の、切干大根が、かなり、うまかったのである。
ちょっと大袈裟かも知れぬが、目を開かせてくれた。

味付けだけでなく、切干大根自体が、うまい。
干した大根のうまさ、を、で、ある。

三ノ輪からの、帰り、切干大根と、油揚げ、竹輪を買い、
帰宅。

竹輪と油揚げは喜美松で入っていたものである。
前述のようなわけで、切干大根の作るのは、初めてである。
パッケージ(袋)裏面の作り方を見てみる。
「洗って、ひたひた、の水で5分程度。」
これでもどる、ようである。

ついでに、産地を見ると、宮崎のよう。
切干大根に、著名な産地があるのかどうか、
まったく知識はないが、なんとなく、宮崎というと、
信用できそうな気がする。

指示通り、洗い、もどす。

こうしたものを、煮るのも、水からがよかろう。
大きめの鍋に、切干大根を入れ、ひたひたの水。
煮立て、竹輪、油揚げを入れ、酒、しょうゆ、薄めに、砂糖。
それから、喜美松のポイント、鷹の爪、これは輪切りのもの、
を、少し多めに入れる。
これがうまかった、のである。

しょうゆ、は、やはり、濃いめ。
これも、喜美松がうまかったところ。
また、けっこう、油も多かった。ごま油も入れてみる。

多少の煮詰まりを考えて、味を決める。

OK。

アルミホイルで落とし蓋をし、弱火で煮込む。
煮ていると、切干大根のうまそうな香りがしてくる。
大根の香りに、干した旨み、のようなものが
加わったものである。

煮過ぎも、まずかろう、15分程度で火を止め、
放置し、味が染み込むのを待ってみる。
15分。


ちょっと、温めなおして、仕上げに、白胡麻。
食べてみる。


なかななか、うまくできた。
喜美松のものに、近い。

やはり、煮え立て、であることが、うまさのポイント。

切干大根のみずみずしい、旨みと、あまみ、である。
乾物であるが、切干大根とは、本来は、
こんなにみずみずしい、うまいものであったのである。
味は、あまからで、濃い目。
そして、存在感があるほどに入れた鷹の爪の辛味も、よい。

煮え立てが、うまかろうと、バクバクと食べてしまった。

P.S.
翌日、冷蔵庫に入れておいたものを食べた。
やはり、煮え立てのシャキシャキ感と、大根らしい
旨みは、大分に消えていた。
これが、給食や、安居酒屋で出る、作り置き、
切干大根、と、いうことになろうか、、。



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