断腸亭料理日記2005
12月6日(火)夜
随分と、来ていなかった。
見直してみると、7月であった。
珍しく、というよりは、初めてであろう。
今日は、部下と来てみた。
18:30。
近くまで来て、TELを入れ、空いているかどうかを
一応確認。
いつもより早い時間だからであろうか、
カウンターには、まだ、空席もある。
座る。
まずは、ビールであろうか。
東京というところは、外は寒くとも、
地下鉄に乗ると、暑い。
この気温差だからであろうか、上野駅から外を歩いてくると、
汗ばむほどではないが、のどが渇いてしまう。
彼は、こうした、普通の寿司屋でカウンターに座って、いわゆる、
お好み、で、食べるのは、初めて、で、あるという。
35歳独身。出身は、富山県。
この世代では、普通であろうか。
あらかじめ、予算をいってある。
「いいですよ。」ということで、来てみたわけである。
(元々は、筆者一人でくるつもりであったのである。)
なにからいこうか。
光物。
鯖、小肌。
各々、一個ずつ。
〆鯖。松輪。
三浦半島の突端に近いあたりの鯖である。
ブランド、と、いってよい。
脂ものって、うまい。
小肌は包丁目を四本入れ、蝶のような形に、きれいに握られている。
これは、江戸前の昔からの握り方であるという。
ほんのり、柚子の香りがする。
光物と、順番が逆になったが、白身。
平目、昆布〆と、はた。
はた、というのは、初めてである。
九州の大分、と、いう。
鍋にする魚、であったと思い、聞いてみると、
その通り。鍋にするよりは、小さいものを使うのだという。
歯応えがよく、くせもなく、うまい。
平目昆布〆。
水分が、ほどよく抜け、うまみと、あま味。
いかと、まぐろ(赤身)。
いかは、すみいか。
やはり、握り鮨のいか、と、いえば、
すみいか、に留めを刺さなくては、なるまい。
適度な歯応えと、香りの、あま味、である。
うまい。
まぐろは、大間の生、であると、いう。
これも、言葉が、ない。
色は深い赤。甘く、柔らかい。
最近、まぐろというと、大間や、函館のそばの
戸井、の名をよく聞く。
この2箇所は、他のものとは、下処理の仕方が違うという。
一つは、しめ方、が、うまい、らしい。
また、筆者も、那智勝浦の港で見たことがあるが、
まぐろは一本で、大きな木箱に入れて、出荷されるが
通常は、左を頭にして、普通に横に寝かせて、入れられる。
この時、下側になった身と、上になった身の味には、
随分に、差が出てしまう、らしい。
当然であるが、血は、下に下がる。
大間と、戸井は、背ビレを下にし、箱に垂直に立てて
入れられると、いうのである。
こうした、配慮で、うまい、ということである。
次。たこ、と、みる貝。
たこは、煮だこもあったが、今日は普通の茹だこ。
いうまでもなく、ここは佐島のもの。
これは、もう、誰にも自慢のできる、もの、である。
もの、もいいが、拵えも、もちろんよい。
表面の色は、濃い赤で、柔らかく、あまい。
みる貝。
その場で、貝を開け、しばらく塩をし、出される。
汐の香りが、堪らなくうまい。
めじまぐろ。
これは、こうした、きちんとした鮨屋では、めずらしい。
表面が炙られ、ている。
なんであろうか、こんなものは、初めて、で、ある。
生臭さもなく、うまみがたっぷり。
鯵。
鯵らしく、うまい。
煮はま、鮑塩むし。
これも、誰にも、自慢できる。
これぞ、江戸前の技、で、ある。
生よりも、うまいもの、で、ある。
甘いたれの、うまさも、また、格別。
最後に、穴きゅう巻き。
今日は、これまで。
連れてきた彼も、満足してくれたようである。
(ビールと、酒3本。二人で、¥16000。)
住所 東京都文京区湯島3-43-12 太田ビル 1F
電話 03-3835-4922
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