断腸亭料理日記２００５

三ノ輪・路麺・長寿庵

11月5日（土）第一食

さて、三ノ輪である。

以前に、日光街道沿いの、丸善、という、うなぎ蒲焼店を書いた。

三ノ輪、なかなか、よい町、で、ある。

今日は課題でもあった、三ノ輪・長寿庵。

今週も、日光街道は渋滞である。
今日は秋晴れ。天気がよいので、気持ちがよい。

日光街道から、都電三ノ輪橋停留所へ折れる、アーケードのとば口。
左側。日光街道に面している。

すぐにわかる。
この店構え、これは、もう、筆者は昭和の下町建築として、
重要文化財、に推薦する。

まずは、時代を感じさせる、煤けた古い建物。
その壁に取り付けられた、くすんだ古いオレンジ色の看板。
そこには三行、黒い太めの行書体で、中央に大きく、「立喰そば」。
これをはさんで、少し小さく、上に、「早い・安い・うまい」のキャッチ。
下に、店名の「長寿庵」。

その下、入り口上に、古ぼけてしわが寄った、テントの庇。
色はオレンジ地に、グリーンのストライプ。

その下に、のれん。
紺地に白抜きで、立喰　そば　うどん。

ちょっと疑問に思ったのであるが、ここは、長寿庵。
長寿庵は、藪や更科などと同様に、普通のそば屋の、「のれん」、である。
もともとは、立ち喰い、ではなかったのであろうか。
まさか、無断で、長寿庵を名乗る、ことはなかろう。

間口は一間ほど。
入ってすぐ、左に、三人程度で一杯になる、カウンター。
右に、二人がけのテーブルが三つ。
そのテーブルも、古い。むかーし、の、もの。

店の奥まで三間くらいであろうか。
一番奥に、二階への梯子段（はしごだん）が見える。
これは、階段ではなく、梯子段である。
（映画「とらさん」に出てくる、寅次郎が昇っていくあれ。
しかし、あれよりも、角度は、急な感じである。）
いずれにしても、この建物自体も、相当に古い。
戦前？もしくは、戦後すぐ、ぐらいではなかろうか。

そして、奥左が、調理場。
その前に、カウンターというのか、付け台、というような
ところがあり、これがまた、木製で、古い。
そばのつゆで色が変わっている。

券売機のようなものはなく、
ここで、注文するようである。

待っているのは三人ほど。ジャージを着たおじさんなどである。
（三ノ輪という町は、ジャージを着たおじさんが、似合う。）

壁に貼られている紙を見ると、天ぷらそば、￥２９０。
天ぷらそばに、生玉子を、頼む。

カレーもあるようで、大きな銀色の皿のカレーと、
そば、を食べている、お兄さんもいる。
カレーの匂いと、そばの匂いが混ざって、店内は
カレーそば、のような匂いである。
（カレーそば、と、いうメニューは、なさそうである。）

調理場には、筆者などと、同年輩、であろうか、
男性が一人。
（その後、先の梯子段から女性が現れ、交代。お母さんであろうか、、。）

そばと共に、ご飯を食べている人もいる。

さて、できた。カウンターまで運ぶ。