断腸亭料理日記2005
10月19日(水)昼
矢来町の中華、りゅうほう。
何回か書いている。
最寄り駅は、東西線の神楽坂であるが、牛込の矢来町。
東西線の神楽坂の駅は、ほとんど、神楽坂ではない。
一応、東側(早稲田から、大手町にに向かって先頭側)の出口の
町名は神楽坂であるが、早稲田通りと大久保通りの交差点である、
神楽坂上からも少しある。
実際の、神楽坂、という坂は、JR飯田橋駅西口か、
有楽町線・南北線の飯田橋が最寄となろう。
中華の「りゅうほう」は、東西線神楽坂駅の、
西側の早稲田寄り出口を出てすぐ。
こちら側は、矢来町である。すぐそばに、新潮社、も、ある。
本屋の隣の路地を入ったところ。坂道の途中にある。
またまた、江戸の地図である。
今の牛込中央通りはなく、
広大な酒井若狭守の屋敷が見える。(若狭小浜十万三千石)
今の新潮社はもちろん、みずほ銀行の社宅を含み、
今の矢来町全域のようである。
地図にも「矢来下」と、見える。矢来町の名前の由来は、この酒井屋敷の
垣根が、竹矢来であったことであるという。
また、鬼平でもお馴染みの、御先手組などの幕府組屋敷も見える。
矢来下の道は、今の早稲田通りで、この先のクランクなどは、
まったく変わっていない。
そして、地図はここで終わっているが、この北はもう、畑になる。
江戸の市街地の外れ、ともいえよう。
さて、りゅうほう。
昼時は列ができるほどまではいかないが、
常に、満席。みんな相席でがんがん座る。回転も速い。
客層は、やはり、筆者なども含めて近所のサラリーマンが、多いが、
年齢層は幅広い。20代から、60代、と見えるような、
年配の方もいる。このあたりの高年齢の方の来る店は、
正しい東京の中華屋、といえよう。
(むろんのこと、この店自体も30年以上の歴史がある。)
12時前。まだまだ、空いている。
チャーハンもうまいが、やはり、「東京ラーメン」である。
他のお客の注文を聞いていると、必ずしも、「東京ラーメン」を
頼む人が多いわけではない。いや、むしろ、少ないかもしれない。
この日などは、筆者の注文を受けた、時に、「珍しいわね」、という声が
店の奥で、かすかに聞こえたような気がした。
多いのは、やはり、塩ラーメンであろうか。
(塩ラーメンは、スープは「東京ラーメン」と同じである。)
また、中華丼、焼きそば、チャーハン、などなど、
やはり、普通の正しい中華屋、である。そこが、よい。
「東京ラーメン」。
レタス、鶏肉のチャーシュー、メンマ、クコの実、海苔。
まずは、鶏肉のチャーシュー。これが格別にうまい。
しっかり味が付いており、ジューシー。
そして、スープである。
いわゆる、白湯の塩味。とんこつがベースであると、思われる。
これに、干し海老などの魚介系の味と香りもある。
また、にんにくの存在も感じられる。
(ちょっと、熊本ラーメンの桂花を思い出させるような気もする。)
やはり、こうした、塩味の深い味は、飯田橋の「高はし」
などもそうだが、滋味に溢れ、はらわたに染み渡る、という、味である。
やはり、いつ食べても、うまい。
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