断腸亭料理日記2005
10月17日(月)夜
日曜、夜には、先日の鮭児(けいじ)のお礼を兼ねて、
ちょうど上京していた、義母を伴って、合羽橋の太助寿司へ行った。
河岸が休みのせいか、少し寂しかったが、脂があってトロトロの穴子、
よい香りの小肌、など、北海道人の義母も、
太助の江戸前仕事には、目を丸くしていた。
鮭児はもちろんのこと、考えてみれば、うに、いくら、秋刀魚、
ほっき貝、函館のマグロ、甘海老などなど、
寿司ねたでもよいものは、北海道産という例が、随分ある。
江戸前寿司の自慢するところといえば、煎じ詰めれば、
“仕事”と、いうことになるのであろう。
筆者がよかったのは、館山の鰈。それから、今年は、鰹が
べらぼうに脂があって、べらぼうに、うまい。
秋刀魚にしても今年は、丸々と太り、うまい。三陸あたり、
プランクトンが豊富なのであろうか。当たり年であるまいか。
さて、今日は、焼き魚が、食いたかった。
なにがよいか?と、考えていると、鱸(すずき)に思い至った。
季節であろう。
帰宅途中、御徒町の吉池に寄ってみる。
20時過ぎると、売り場は片付け始めており、めぼしいものはない。
鱸などは、到底、みあたらない。
鮎が食いたい、鱸が食いたい、鮭児がどうした、
などと、我ままをいってはいけない。
その日、店頭にあるもの、安いものが、旬でうまいもの、
これを忘れてはいけない。改めて、自戒、である。
見て回ると、いさき(鶏魚)、に目が止まった。
一山3匹、¥450が、¥350に安くなっている。
長崎産。
6月、いさきのあら、で、味噌汁を作った。
これは、随分に、うまかった。
いさきは、筆者としては、あまり存在感のなかった魚であるが、
見直していたのである。
いさき、は、千葉を北限として南シナ海まで、いるらしい。
関東では、産卵期にあたる、夏が旬、ということになっている。
しかし、九州などでは、四季を通じて、獲れる、という。
(毎度、参考にさせていただいている、「市場魚介類図鑑」)
これを買って、大江戸線上野御徒町駅、コンコースに出ている
千葉・大多喜町の野菜、ししとう、¥100も購入。
これは、揚びたし、にしよう。
帰宅。
義母がいるのもあり、妻も帰宅していた。
揚びたし用に、鰹削り節で出汁を取る。
いさきは、うろこを落としていないので、出刃で、ていねいに落とす。
(いさきは、まさか、鱗ごとたべるのでは、あるまい、、。
しかし、これは、未確認。)はらわたも出す。
塩をして、普通に塩焼き。
ししとうは、洗って、比較的多目の油で、炒める。
出汁は漉して、しょうゆ、酒、気持ち、味醂も入れ、
炒めたししとうを、軽く煮て、置く。
どうも、見栄えはしないが、素人である。
ご勘弁をいただきたい。
いさきは、やはり、丹念に味わって食べると、
鶏魚、という字のごとく鶏肉に似た香りがあり、
また、脂もある。
うまい。
いさきは、北海道にはまったく出回らないという。
義母は、初めてだそうだが、気に入ったようであった。
ししとうも、この食べ方が、今は一番気に入っている。
これで、ビールを呑んで、
今日は、ご飯を炊いてくれていたので
ご飯に、北海道みやげの、いくらしょうゆ漬け、をのせて、食べる。
北海道の人には、こうした食べ方は、
あたりまえのことであるらしいが、東京の人間には、
とても贅沢な気分である。
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