断腸亭料理日記2005

浅草駒形・鮨・松波 その1

9月14日(水)夜

近所の“課題”で、あった。

しかし“課題”なんというには、あまりにも大きい。
大き過ぎる。

台東区は浅草・駒形の、鮨・松波、で、ある。

どうなのであろうか。
東京で、最も高価な寿司店の一つ、といってよいのであろうか。

なんでも、ご主人は京橋の与志乃のご出身、と、いう。
(与志乃、も筆者は、むろんのこと、行ったことはない。)
京橋の与志乃、といえば、以前に読んだ、
「至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術 山本 益博著 新潮新書」


に、よると、の「すきやばし次郎」のご店主、小野二郎氏の出身でもある。
と、いうことは、兄弟弟子、と、いうことになるのであろうか。

まさに、一念発起、で、ある。

前日、TEL。
PM9:30まで、と、いう。

8時、と、思っていたが、少し、早めに行く。

場所は、ちょっと、説明しずらい。
町名は、駒形、で、あるが、浅草通りから、
寿との境の通りを、消防署方向(南)へ入る。

田原町から、スタスタ歩く。
店の前で、妻と待ち合わせ。

おしゃれな鉄筋の建物。
ドアを開けると、いきなり玉砂利。
目の前に、黒い螺旋階段が、ある。
これを、上がる、らしい。
二階へ上がっていくと、女将さんが顔をみせる。

白木の大きなカウンター。

先客は奥に一人。
ご主人は、ごま塩頭の、丸顔の柔和な感じである。

扇子をパタパタやっていると、
「暑いですねぇ」と、ご主人。
なにか、少し、緊張が、とける。

おしぼり、が置かれる。
これが、飛び切り、熱い。
熱いおしぼりは、汗を引かせる。

ビールをもらう。
スーパードライの小瓶である。

先付けは、もずく酢。じゅんさい、が入っている。

「おまかせで、お願いします。」

塗りの台が置かれ、白髪ねぎのように切られ、水に晒された、茗荷。
ガリ、わさび、梅肉が置かれている。
そして、手前の小皿に、なぜか、焼海苔、が、置かれている。

うーむ、この焼海苔は、どうするのであろうか。
このまま食べるのであろうか、、。

さて、もずく酢のもずくは、当然であろうが、最近スーパーなどで
出回っている、太いものではなく、細かい綿のようなもの。

目の前、つけ台(まな板)の上に、見えるように笊に載せられて、
ネタが置かれている。
(この笊は、下に、ボールのようなものが置かれている。
笊には、照明があたっているが、大丈夫なのであろうか、
と、思ったりしてしまう。ボールの中に、氷か、ドライアイスでも
入っているのであろうか。)

まず、刺身から出てきた。

まぐろ、中トロ。
普通のすし屋の切り身の切り方からすると、
薄めに切られている。
色がどちらかというと、赤黒い。
甘いというよりは、とても味が濃い。

聞いてみると、血合いに近い部分で、
一本から取れる量はわずかである、と、おっしゃっていた。

まぐろの場合、冷凍ものの赤身は、
水気でぶよぶよしている。
一定以上の寿司屋で、天然ものを使っていれば、
むろんのこと、ぶよぶよした水気はなく、甘みの濃い、
方向になっていく。

ここ、松波の中トロは、その、究極、なのかも知れない。
こんな味のまぐろがあるのか、と、いうものである。

次は、カンパチ。
まぐろは、どこか別のところから出してきたようであるが
これは、先の、目の前の笊の上にのせられているものを
切って出てきた。
白身であるが、これも鮪同様に、ネットリしている。

やはり、どうも親の敵のように、バクバクと食べてしまう。

次、鯖。
〆鯖、である。
全般的にどうもここは、切り方が薄いようである。
特に鯖は、薄く、大きい。
また、鯖に限らないが、どれも、切って出てくる姿が美しい。

外側の2mm程度の色が変わるくらいに〆られている。

これをなんと、白味噌(西京味噌)の酢味噌で食べる。
これは、初めて。
鯖が、甘い。

結論からいうと、水分のコントロールが抜群なのであろう。
ちょっと、表現がしずらいのであるが、
とにかく、普通の寿司屋のしめ鯖では
生であれば、生の色、水分でちょっと光った色をしているが、
ここのものは、生なのであるが、水分が出ていない、という
そんな、感じなのである。

【続く】

HP



昨日、配信分の「志ん生アンケート」さっそくご回答いただきました方々、
ありがとうございます。
また、温かいメッセージなどありがとうございます。
お一人お一人にお返事ができないのが、残念です。
この場で、厚く御礼申し上げます。

また、いつまで続くかわかりませんが、
今後ともよろしくお願い申し上げます。




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