断腸亭料理日記2005
5月25日(水)昼
今日は、ふとしたことで、本郷三丁目で昼。
少し前に、一度入ったことがあったのであるが、
インド料理店である。
東大生には、知られている模様であるが、
一般的には、まったく、無名、といってもよさそうな店である。
湯島から、本郷は、近所といってもよい場所であるが、
どうしたわけか、あまり来ない場所である。
下町と、山手、ということかも知れない。
下町に住んでいると、なんとなく、足が向かないのか、、。
ともあれ、本郷三丁目である。
知らない方もおられるかも知れぬが、
本郷三丁目といえば、かねやす、である。
「本郷も、かねやす、までは江戸の内」という言葉である。
落語などでも、本郷といえば、マクラで振られる話題であった。
本郷三丁目の交差点の南東(二丁目)の角に、
かねやす、という化粧品店がある。
江戸・享保の頃、歯磨きを売り出し、評判になった、と、
いうのがその始まりらしい。
そして、有名な「本郷もかねやすまでは・・・」という、言葉ができた。
つまり、ここより外は、江戸ではない、ということである。
ここから、東大の脇を通る、本郷通りは、中仙道となる。
中仙道側の江戸の境界が、このあたり、ということなのであろう。
しかし、素人考えでも、こんなところでは、
江戸の中心から近過ぎるように思う。また、実際の朱引図
などとも、当然、違っている。(北側は、荒川、石神井川。)
この言葉の由来、今度、きちんと調べなくてはならない。
(東大はご存知、加賀・百万石、外様の前田家の屋敷であった。
まったくの邪推であるが、加賀藩邸のある場所を、
江戸に入れたくなかった、のだろうか・・・?)
さて、インド料理パーラス。
その、かねやすのビルの隣り、B1である。
前に来た時もランチである。
細い階段をトントンと下りると、うなぎの寝床のような店内。
テーブル席がいくつかあり、奥が調理場、その周りを囲んで、
カウンター席。
今日はまだ人が少なく、そのうなぎの寝床の、最も奥、
カウンターのどん詰まりに入れられてしまった。
しかし、カウンターに座ると、調理場がよく見える。
ランチのセットは¥850からあり、チキン、マトン、
日替りなどから選ぶことができる。ナンが食べ放題。
チャイか、コーヒーが付く。
マトンで、チャイにする。
そうであった。ナンの伸ばし方が見られる絶好の機会である。
先日、ナンを手作りしたのであるが、伸ばし方が
わからなかったのである。
また、例のタンドリー。これも見ることができる。
ここのタンドリー、ずばり、前に書いた、
浜町のお店のものかと思われる。四角いステンレスのものである。
天面に鉄製のフタが付いており、これを開けて出し入れする。
さて、問題の伸ばし方である。
ナンを焼いているシェフ(?)の方(もちろん、インドの方)の
手元に、長さ10〜12cm、幅7〜8cm、高さ4〜5cm程度の、
楕円形の団子に丸めた生地が並んでいる。
注文が入ると、一つを取って、やはり、ピザ生地のように
両手のひらを使い、左手、右手、と投げ、伸ばしていく。
そして、最後、あの、ナンの形にするため、
厚い布団のような、手のひらより二周りほど大きい布製の
もの・・・(うまく描写ができない、が、。)に乗せ
端を引っ張り、伸ばす。
そして、この布団のようなもの、に乗せたまま、
フタを開け、ナンを竃(かまど)の内側の壁面に貼り付ける。
焼き上がるまで、数十秒であろうか、すぐである。
ギーを刷毛で塗って、一丁上がり。
さて、カレーである。
辛さは5段階で指定できるが、筆者もそうであるが、
辛いものが好きな方は、最も辛い「5」でも、
びっくりするほどの辛さではない。
マトンのカレー。
スープ状のシャバシャバ。
トマトの味が強く、香辛料は控えめ。
カレーとしては、マイルドである。
この他に、小さなサラダと、タンドリーチキンが付く。
ナンは、頼めば、すぐに焼いてくれる。
食べ放題といっても、4枚も、5枚も食べられるものではない。
2枚も食べれば腹いっぱい。しかし、それでも、十分に充実感はある。
やはり、欲をいえば、今の東京のカレー好き、を考えると、
本体のカレー、もう少し、スパイスを利かせ、個性を出しても
よいのではないかと思われる。
ともあれ、店を仕切る、マダム(で、よいのだろうか?)
の感じもよく、居心地のよい店である。
『募集』
「断腸亭に食わせたい店、もの」、随時、大募集。
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