断腸亭料理日記2004

日本橋人形町

洋食・芳味亭

11月4日(木)夕食
19時、新富町付近で仕事、終了。

さて、どうしようか。
なにか、今日は、11月に入ったというのに、生暖かい。
歩いていると、汗ばむほどである。

銀座も近い。お多幸のおでん、、か、とも、思ったが、
この陽気では、それもないであろう。

人形町へ移動、妻も、終われるとのこと、
洋食・芳味亭へ。

ここ、初めてである。

昭和8年創業。「お座敷、お箸で洋食が食べられます。」
というのが、キャッチである。

場所は、ちょうど、すき焼きの名店・人形町今半、喜寿司など、
金額も張り、夜になれば、社用利用のハイヤーが何台も
横付けされる、一角にある。

そもそも、このあたり、BROZERS’の回
にも書いたが、花街時代からの老舗は、もともとが、
高目の値段設定である。

しかし、東京の老舗洋食屋の価格帯からすると
べらぼうに高い、とは言えまい。

暖簾をくぐって、店に入る。

ラストオーダーは20:20と、早い。

座敷に上がるのも、面倒なので、
玄関付近のテーブル席に座る。

ビールをもらう。

筆者は、どこの洋食屋でも、最初はいつも決まっている。
チキンライスと、ポークカツレツ。

これは、池波流。白いご飯ではなくて、
味付きご飯にする。

ポークカツレツ¥1500。
チキンライス¥1300(であったか、、。)

三角に折られた紙ナプキンに割り箸と、スプーン。
紙ナプキンに描かれている絵が、なかなかよい。

森永ミルクキャラメルのパッケージに描かれている
エンゼルマークに似た、古いタッチの
エンゼルが、料理を持っているイラスト。
その脇に、「獨特名代 佛蘭西料理 芳味亭」
としてある。

さほどに、待つ間もなく、運ばれる。

ポークカツレツ。

これは、うまかった。

付け合せは、ポテトサラダとキャベツ。

横にも切れ目が入れられている。
ロースであると思われるのであるが、
とにかく柔らかい。
味も、塩コショウが少し濃い目。旨みも十分。

チキンライス。

これは、ちょうど、浅草・ヨシカミと、銀座・煉瓦亭の
中間といったところ。
ヨシカミは、かなり濃い目、煉瓦亭は上品。

なんとなく、場所的にわかるような気がする。

量も大目である。

十分満足。うまかった。

東京の老舗洋食屋、決して安くない。

その昔、大正、昭和初期、
料亭で芸者を揚げて遊んでいた方達が、ハイカラな洋食を
好んだところから、これらの店は、始まっている。

この成り立ちから、駅前の定食屋と同じ様なメニューでも
値段が違ってくるのである。

そんな歴史と、店の雰囲気、込みで楽しめるかどうか、
そのへんであろう。

ヨシカミのコック達が、キビキビと動く姿を見るのもよい。
ご主人がドア前に立ち、開けてくれる、煉瓦亭の雰囲気もよい。
小春軒のコロッケも大好きである。
香味亭のデミグラスソースは絶品である。

今、下町というと、どちらかというと、B級のイメージが強い。

勘違いしてはいけない。
ここも含め、下町、下町、というが、B級の下町ではない。
粋な、大正・昭和の遊び人の街なのである。
A級の下町である。

店舗HP


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