断腸亭料理日記2004

森下・やきとん・山利喜

6月13日(土)第3食
今日は、夜は、森下・山利喜と決めていた。

江東区、森下。拙亭からは、大江戸線で三駅。
深川の北の端である。
清澄通りと新大橋通りの交叉点。

いきなり、横道にそれるが、
深川と本所(江東区と墨田区)の境はなぜ、今の位置なのであろうか。
このあたり、川や、堀が境でもよさそうである。
鬼平犯科帖などにもよく出てくる、お熊婆さんの茶店のある、
弥勒寺はここからもすぐ近く。
また、同じく鬼平の、ご存知、二つ目橋北詰の軍鶏鍋屋「五鉄」も
すぐであるが、どちらも、本所。

地図(↓にリンクあり。)を見ると境は、かなりギザギザしている。
神社の氏子範囲の関係であろうか。(深川は、富岡八幡。)

筆者の住む浅草あたりも、三社と鳥越の氏子町の境が、
現在の町の境はもちろん、大通りや川とは無関係でかなり、ギザギザしている。

更に、蛇足ついでだが、この日、森下交叉点の、銀行の前に
ステテコ、鯉口姿で、雪駄を脱いで、体格のいい、お兄さんが、
大の字になって寝ていた。
今週は山王祭りであるが、どこかの、祭り帰りであろうか、、。
この季節、死んでしまうことはないだろうが、豪快である。
さすが、深川と言うべきか、、。

閑話休題。

この森下界隈には、桜鍋の「みのや」、高橋(たかばし)の
どぜう伊せ喜」(個人的には、駒形よりはよいと思う。)など、
名店も多い。

山利喜は、なぎら健壱先生の「東京酒場漂流記」(ちくま文庫)でも
書かれていたと思う。

かなりの有名店である。

もともとは、下町によくある、やきとん居酒屋。
店の看板にもあるように、いわゆる「大衆酒場」
であったのだと思う。

三代目がフランス料理の修業をされ、
なかなかに、洒落た味付けの「大衆酒場」、
「やきとん屋」になっている。

ここ、なんといっても、煮込み。
これにとどめを刺す。
(以前に、レシピが紹介されたことがあったが
ポートワインが入っていたと思う。)

煮玉子を入れてもらうのを、忘れてはいけない。
浅めの素焼きの皿にぐつぐつと煮えて、出てくる。
滅法、うまい。

この煮込みには、ガーリックトーストは欠かせない。
煮込みのつゆに、つけて食べる。
頼む場合は必ず、セットで頼むべし!

また、なすのぬか漬け。
溶き辛子が添えられ、まるのまま出てくる。
(ちなみに、なすのぬか漬けに溶き辛子は、
池波正太郎流でもある。)

筆者など、つまみは、この二つと、やきとんで、
必要十分である。

また、日本酒、焼酎も充実しているが、
これも、筆者は最近、酎ハイで必要十分。
(やきとん屋では、酎ハイが王道だったはずである。)

また、深川の居酒屋のこと、
若い元気な、お兄ちゃんたちが、忙しく立ち働く。
これも、この店の良さ。

ともあれ、酒呑みにとっては、かなり魅力的な店である。

地図

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