断腸亭料理日記2004

上野・もつ焼き・カミヤ

5月11日(月)夜
今日は、暑かった。

なんと、真夏日(まなつび)であった。
ビールである。そして「やきとん」である。
焼き鳥ではない。気分は、やきとん。

豚のもつ焼きのことである。
やきとん、というようになったのは、いつからであろうか。
さほど昔のことではないと思う。

やきとんというと、なぎら健壱先生を思い出す。
筆者、落語をやっていた関係で、お話をしたこともあった。
「東京酒場漂流記」ちくま文庫、という、名著を書かれている。
なぎら先生のもっぱら好まれるのは、やきとん。

人形町にある「カミヤ」という、やきとん、居酒屋。
以前に(葛飾在住時代)、何回か、行ったことがあった。

そして、現浅草へ、越してきて、気になっていたのが
この店。

場所は、上野駅前と言ってもよいだろう。
上野駅前浅草口、昭和通り沿い、キンコースのある駅前の交叉点から
ほんの少し、北へ上がる。キンコースから数軒目。

人形町と同じ名前で、もつやき、といえばまあ、間違いなく、暖簾分けである。
下町のもつやき屋。本来的に、客層は、かなりディープであるはずである。
一見(いちげん)で、それも、一人で入るのには、少し、勇気がいる。

店の前まで来ると、よい匂いがし、店の戸が開け放たれている。
島になったカウンターとテーブル二つほど、小さな店である。
さほど、混んでもいない、近所のサラリーマン風の三人組が二組といったところ。
みな、常連のようである。

店は、焼いているご主人と、おかみさん二人でやっている。
ビールと、もつ焼き1人前(\800)。塩で。

お通しに、大根のおしんこ(薄切り)が来る。
おお、これは、間違いなく、人形町と同じ。やはり暖簾分けであろう。

鬼平を読みながら、待つ。

レバ、なんこつ、ハツ、ガツ、など、一通りくるが
どれも、かなりうまい。

豚モツの塩が、これだけうまいのは、かなり新鮮である証拠である。

今日は、ビール1本、これで、さくっと引き上げる。
店を出るとき、ご主人、笑顔で、「またどうぞ」。

なかなか、よい。雰囲気も悪くない。

カウンターで焼きたてを喰うのが最もうまい。
狭いからこそ、である。これからの季節、いい店を見つけた。

もつやきカミヤ
TEL 03-3844-7034
〒110-0015 東京都台東区東上野4丁目3−7 
地図

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