断腸亭料理日記2004

氷頭膾

5月10日(月)夜
福島へ出張。
東京は雨であった。福島は、雨こそ降っていないがどんより。

18:30、上野着。
新幹線の中で、なにを喰おうか考えていた。
鮭。焼いた塩鮭(しおじゃけ)が喰いたくなっていた。
特に何の必然性もない。

定食屋のようなところとも、考えたが
そのくらいなら、買って家で焼こう。

御徒町の吉池。
考えてみると、ここ、かなり妙なところである。
スーパー部門と、鮮魚部門が別棟になっており、鮮魚部門は

かなり、充実している。

しかし、充実のしかたが少し、妙。
新潟にも店があるからであろうか?

新潟、北海道のものにかたよって充実しているように思う。
鰯の糠漬けなどあるが、これは、新潟の名物。

また、今日の目当て、塩鮭も充実している。
普通、塩鮭など特にこだわりはない。
安くて(切り身一切れ¥100くらい)、中辛程度であればよい。

ここには、安いものから、一切れ、¥600程度のものもある
高いものは、時鮭と書いてある。
ときしらず、と読むらしい。
参考

安いものは、チリ産のキングサーモンなど。
二切れ¥250の辛口。これにする。

隣に、パックに入った氷頭膾があった。
(ひずなます、と読む。)

これは、鮭の頭の軟骨部分を薄く切って
甘酢に漬けたものである。

昔から、鮭の珍味として、鮭の取れる地域では
珍重されてきた。

帰宅し、切り身を焼く。

焼き上がるまで、氷頭膾を開けて
ビールでつまんでみる。

前にも一度食べたことがあったが
慣れないと、さほどにうまいものとは思えない。

(珍味、名物などとは、得てしてそんなものである。
名物にうまいもの無し。)

基本的には酒のつまみである。

今日のものは、麹が入っているのか
少し発酵している感じである。

生産地をみると、北海道であった。

東北から北海道(主に日本海側)では
いわゆる、なれずし、というが、魚を発酵させた漬物、が伝統的に
作られてきた。(東北ではないが、琵琶湖の鮒ずしも有名である。)

その一つに、北海道では、鰊(にしん)漬けというものがある。
鰊に麹と大根などの野菜を入れ、漬け込む。

今日の、氷頭膾、ちょっとその味を想起させる。

鮭も焼きあがり、一緒につまむ。
鮭(キングサーモン)は、まあ、可もなく不可もなく。

最近、甘塩の方が人気だが、筆者は、
塩鮭は、塩辛いものでよいと思う。

それがうまい。

昔、子供の頃、弁当に入っていた
(ハラスの部分など、塩の塊のようなもの)がよい。

氷頭膾。今日は、なかなか、うまいと感じてきた。
軟骨であるが薄く切っているため、コリコリとした食感と
皮と、軟骨の周りの、ゼラチン質部分のヌルっとした食感。

また、生臭さもある。
やはり、これ、慣れないとだめだと思うが、

慣れれば、結構クセになる。

食べきってしまった。

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