断腸亭料理日記2004

そば・神田・まつや

2月17日(木)昼食

一つ、飛ばしてしまっていた。

先週のことであった。

めずらしく、午後イチに、神田小川町。
一人ではなく、やはり、めずらしく、三人。

どこで昼飯を食おうかと考えたが、
急なことで、調べる時間もなく、とりあえず、安全なところで
まつや、に、してみた。

この日、随分に、暖かかった。
コートに、マフラー姿だと、汗をかくほどであった。

並ぶかと思ったが、すんなり座れる。
しかし、とうぜん相席である。

今、思い出しながら書いているのだが、この店、
天井が高かったような、記憶がある。
なにか、ホールのようなイメージ。
なぜであろうか、実際に高かったのか、、。
店内は、表からの感覚よりは広く、中に、柱などもなく、
これが、ホールのような感じるのかも知れない。

あるいは、逆?。天井が高いので広く思えるのか。
また今度、確かめよう。

ともあれ、今日は、暖かいので、盛り、がよかろう。
「とろろ」にしよう。
大盛で。

写真

あらためて思うのだが、ここのそば、
とても、オーソドックスなのではなかろうか。
あるいは、良心的と、いえよう。

大盛にすれば、量もそこそこあり、昼飯としても
満足はできる。

近所であるが、神田藪や、筆者のよく行く、池之端藪などは
量のことを言い出すと、お世辞にも、多いとはいえない。
ここは、とろろの、大盛でも¥1000でおつりが、くる。

また、味のことを言えば、
つゆは、濃過ぎもせず、薄過ぎもせず、
オーソドックスな江戸前の濃い味。
そばも、もちろん、うまい。

昼飯に入ったのは、この日が初めてであった。

前に書いたのは、

居酒屋状態。
この時間には、逆に、落ち着いて、そばを食う、雰囲気では、
ないように思う。

池波先生などは、昼の人が引けた後や、夕方などを好んだ、というが
この店は、そば自体を楽しむには、こうして、込み合う昼時も
よいように思う。

客のほとんどが、ほとんど、無駄口をきかず、
ぱっと、来て、さっと、うまいそばを食って、ぱっと出る。

肩肘張らず、四の五のいわず、考えず。

これも、この店らしい、よいところであろう。

さて、少しおまけである。

筆者、店を出るときに、膝の上に置いたマフラーを忘れ、
そのまま立って、店を出てしまった。
しばらく行って、気が付き、戻ったのであるが、
床に落ち、ちょうど、水が床に撒いてあり、少し、濡れてしまっていた。

まつやでは冬は乾燥し過ぎるため、水を撒いている、という。

連れも待っており、「適当で、よい」、と言っても、店の方は、
乾いたタオルで、丹念に拭いてくれた。


2008年


神田まつや



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