断腸亭料理日記2004

四谷三丁目・とんかつ・あらい

2月10日(木)昼

雑誌dancyu3月号「とんかつ特集」
この記事のトップに載っていた、四谷三丁目「あらい」。

やはり、筆者のオフィスから、歩ける距離にある。
三丁目というよりは、大木戸に近い。

新宿通りから、路地を北へ入る。
12:40。この時間だからか、列はできていなかった。

カウンターと、テーブル2卓ほど、と小上がり。
ご夫婦二人でやられており、こぢんまりとした店。

上ロース¥1350をと、思ったが、1時からであった。
¥850のロース。

ラード100%ではなかろうが、
なかなか、うまそうな、油のにおいである。

待つほどもなく、できあがる。

付け合せが、おもしろい。キャベツはあたりまえだが、
これに、ケチャップ味のスパゲティーが付くが、極細。

さて、とんかつ。

衣はしっかりとつき、かなり粗挽きのパン粉。
肉の厚みは、2cm、きれいな長方形である。

噛んでみると、サクサク。
とても軽い揚げ上がりの衣である。

dancyuでは、肉が、ピンクから、白いグラデーション、などと
描写していた。そこまでは、わからなかったが、
とても、旨味のある味。

実は、昨日、このdancyuの記事を見て、
無性に、とんかつが食べたくなり、夜、自作をしてみたのである。

パン粉もパンから、ミキサーで作り、とん汁まで揃え、
味は、なかなかうまかったのである。しかし、見てわかる通り、
もっと、荒めのパン粉もあったのであるが、取れてしまい、
また、切った際に、若干、衣が、はがれてしまった。
(パン粉から作っても、このテイタラクである。)

やはり、プロは違う。

肉。
もちろん、質もよいのであろうし、一番の違いは、厚みである。
スーパーで買えば、銘柄豚であっても、ロースは
厚みはせいぜい1cm程度である。

この厚みが、食べ応えと、柔らかな揚げ上がりにつながる。

自作の場合は肉屋で、頼んで切ってもらわなければならない。

また、衣である。
今日の「あらい」も衣の厚みは、1mm程度あり、
かなりしっかりついている。
厚すぎても、いけなかろうが、このくらいしっかりつかないと、
パン粉も、しっかりとつかないのである。

さて、ぶた汁。

「あらい」の汁は、大根と、油揚げ。
味噌の色は、白っぽいが、濃い目のしっかりした味。
豚肉自体は、汁のなかには入っていないが、
脂も浮いているため、肉は使っていると思われる。
また、煮干のだしも、強く感じられた。

昨日の自作は、ちょっと、浅草寿町の「すぎ田」

のものをイメージして作ってみた。
具は、豚こま切れと、大根、ごぼう。
味噌は、八丁味噌と、信州味噌を合わせた。

ぶた汁。やはり、濃い目がうまい。

まとめると、「あらい」。
¥850という値段は、とてもリーズナブルである。
そこいらの、定食屋でも、まごまごすると、
このくらいの値段は普通である。

肉の大きさは、ロース¥1800の「すぎ田」などとは比べようがない。

しかし、とんかつの技術自体は、一級であろう。
汁もうまい。

開店から3〜4年ほどという。

とんかつはもちろん、店の雰囲気、ご主人の顔、と
一本通ったものを感じる。

これから、もっとこなれて、
さらに、よい店になりそうな予感がする。

地図



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