断腸亭料理日記2004
1月1日(土)元旦
年が明けた。
今年は、後厄。
まったく、嫌になってしまう。
まだまだ続くか、厄年。そんな、感じである。
さて、拙亭の雑煮である。
餅は、角餅を焼いて入れる。
できれば、餅は煮ない。焼いてすぐ、つゆに入れて食べる。
煮なくとも、つゆに入れている時間が長ければ長いほど、
入れているだけで、柔らかくなる。
柔らかいのはいけない。
焼いてすぐの、固い餅を、つゆの中で、噛み切るのが
うまい、のである。
出汁は、鶏がら。もちろん、しょうゆで、すまし、である。
入るものは、小松菜、里芋、鶏。
そして、三つ葉を散らす。
これは、東京風であると、思うのであるが、
東京でも、微妙に違う家もあるようである。
鶏がらではなく、鰹だったり、蒲鉾などを入れる家もある。
共通するのは、里芋と、小松菜であろうか。
里芋には意味があるのではないかと思っている。
民俗学的にいうと、餅よりも、里芋の方が文化としては古い。
日本には、米=稲作文化の以前、芋(里芋)=畑作文化があった。
今はあまり言わないが、雑煮は、祝うもの、であった。
いうまでもなく、正月の儀礼食である。
大切な食事に、入れるものは、大切なものである。
餅(米)は当然、日本人にとって、なくてはならぬ、ものであり、
また、里芋も同様であったのである。
地域によっては、元旦は餅を入れるが、
二日は、「餅なし正月」と言い、餅は入れないで、
里芋をだけを入れるところもあるようである。
ついでだが、東京で、昔は、イモ、といえば、
里芋のことを言ったような気がする。
(いもの煮っ転がし、というと、里芋のことである。)
正しい東京のおでん、にも、里芋(やつがしらなども含めて)は
欠かせないし、暮れの、お酉様(酉の市)でも、売られる。
お酉様は、正月を前にした、歳の市(トシノイチ)で、
正月の準備のための、市、であったのでろう。
(縁起物としての、熊手を売るのは、後からできたのか、
あるいは、農機具を売る市から、でてきたものか、、。)
ともあれ、雑煮。
元朝(がんちょう)、といっても、昼近く、起きると、炭をおこし、火鉢で、餅網。
餅を焼く
長松が親の名で来る御慶かな
(そういえば、新春恒例の寄席中継って、ほとんどなくなりましたね・・・。)
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