鴨鍋とはまぐりのつゆ
1月3日(月)夕食
さて、これも、拙亭では恒例になっている、正月の献立である。
1998年
正月には、好きなものが食べたい。
いや、最も好きなもの、と、言い直さなくてはならない。
地球最後の日に、何が食べたいかと聞かれれば、迷わず「鴨」、
と答える、などと、書いている。
鴨が、以前は高価で、あまり売っていないものであった。
普段食べられないものを、食べよう、である。
今も、そうかと、聞かれると、さすがにそこまででは、ない。
毎年食べており、また、鴨せいろも、ほうぼうで食べており、
また、肉自体も、近所のハナマサで比較的安く(500gで¥1000程度)、
手に入るようになった。
しかし、相変わらず、大好物であることには、変わりがない。
鴨鍋、自体は、昨年、鴨飯と共に、やった。
このときの、余りが半分残っていた。
大晦日の年越しそばに使ったのも、これである。
500g¥1000でこれだけ楽しめれば、御(おん)の字である。
さて、今年は鴨鍋の前に「はまぐりのつゆ」である。
鴨鍋とは、直接は、なんの関係もない。
銀座日記であったか、他のエッセーであったか、
作品は忘れてしまったが、池波正太郎レシピでもある。
はまぐりのつゆ、のみで、酒を呑む。
池波先生はよく、こういう呑み方をされていたようである。
おつゆというのは、普通、飯と共に仕上げに飲むものであると、
思っていたし、また、実際にそうする場合の方が、多い。
汁物を飲んでしまうと、酒が進まなくなる、ような気もする。
しかし、実際に試してみると、はまぐりの吸い物、
なるほど、燗酒に合う。
なかなか、乙な呑み方ではないだろうか。
はまぐりのおつゆで、燗酒一合。
そして、鴨鍋。
鴨鍋は、ぼんやりしているとすぐ、
肉が固くなり、あっというまに、肉は縮んでしまう。
入れたそばから、食う。
なかなか、せわしない、鍋である。
鴨の脂と、しょうゆの甘辛、芹の苦味のあるシャキシャキした食感。
これを、卵をくぐらせて食べる。
やはり、堪(こた)えられない、うまさである。
はまぐりのおつゆ
鴨鍋
卵をくぐらせて、食べる
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