断腸亭料理日記2004

浅草・元祖恵比寿ラーメン

4月22日(木)夜

8時頃オフィスを出る。

今日は、恵比寿ラーメンにしようと思った。
一度帰宅し、車で千束五叉路。

この恵比寿ラーメンをご存知・ご記憶の方はおられるだろうか。
もう20年ほど経つだろうか。
今に続く東京のラーメンブームの火付け役ではなかったか。

もちろん、恵比寿ラーメンである。
恵比寿にあった。

もともとは、屋台。
筆者の大学時代のことである。
首都圏東北部にある大学から、話題になっていると聞きつけ、
夜、彼女(今の妻)と、車で来てみた。
恵比寿駅から、駒沢通り沿いにしばらく行き、右側にあった。
夜、9時か10時くらいであったのであろうか。
かなりの行列であった。

まだ、さほど腹も減っていないので、その辺(代官山。
当時からちょっとおしゃれな街になっていた。)を一周り
してみることにした。

4、50分後、屋台に戻り、列についた。
しかし、なんと、直前で、麺が切れ、終了。
かなり悔しい思いをした。

そんなことがあった。

その後、就職し、東京に戻り、何度か通った。
さらに、その後この店は、麻布へ移り、
何年か前に、この地に移ってきた。

味は、その屋台当時と変わっていないのではないのだろうか。
このラーメン。最初に食べた時の感動は今でも忘れない。
初めて、心からからうまいと思い、無言で啜った、のを憶えている。

しょうゆである。
しかし、ほんとうに、ノーマルなしょうゆ味で、うまい、というのは
かなり、難しい。

大抵は、しょうゆの味が勝ち、からいだけのものになる。
あたりまえのものを、過不足なく、
うまく作るのは至難の業なのではないのだろうか。
前に書いた、四谷三丁目「まるいち」も、しょうゆであるが
残念ながら、ここには及ばない。

ここのしょうゆ、ほんとうに、特徴を書くのが難しい。
あえて、あげると、メンマの風味。
こう書くと、具のメンマだろう、、と思われるかも知れない。
具のメンマだけでなく、スープにも、もともと、
その香りがついているように思う。

しょうゆというと魚系のダシのところも多いが、ここのものは
それでもない。(入っているかも知れぬが、気が付かない。)

鶏?とんこつ?その他いろいろあるが、
どれが勝っている、というのでもない。
非常にバランスが取れ、かつ、うまみが深い。

千束五叉路、国際通りの三ノ輪に向かって左側。
カウンターのみ。
この地に移り、往年の行列は流石にないのはさびしい。
しかし、筆者にはそんなことは、関係ない。
流行の有名店がほんとうにうまいのか?
いうまでもない、別の問題である。
うまいと思えば、通う。それだけのことである。

ここにはワンタン麺もある。
生姜の風味の普通のワンタンである。これもうまい。
今日は、ラーメン、煮卵入り。

無口で、淡々とラーメンを茹でる、おやじさんの姿は
いつ来ても、よい。



TEL 03-3875-0141
〒111-0031 東京都台東区千束1丁目15−8

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