断腸亭料理日記2025
4733号
引き続き、フィレンツェ。
ホテルのおねえさんもいっていたが、基本、
フィレンツェの中心部分は歩いて回れるよう。
昨日書いていた、パンや。
コーヒーも飲めて、いわゆるバケットやクロワッサン、
デニッシュ類などを売っている。
入ってみた。
お薦め、なのか、貼り紙がしてあったものを買ってみる。
量り売りで、このくらい、といってもらった。
それから、エスプレッソ2つ。
cenci (チェンチ)というよう。
調べると、カーニバルのお菓子で、似たようなものは
イタリア中にあるようだが、フィレンツェの呼び名のよう。
まあ、フィレンツェ名物。
パリパリにした小麦粉の薄い生地に砂糖をかけてある。
揚げているのか。
素朴だが、うまい。
そう、ヴェネチアが有名だが2月はカーニバルの月であった。
もう一つ。イタリアのコーヒーの基本はエスプレッソ。
ミルクの入ったカプチーノがあるが、これを飲むのは
イタリア人は朝のみで、昼間に頼むと、この野郎、
場違いな奴め、と、笑われる。
ともあれ。店を出て、ぶらぶら。
このパンや兼お菓子やさんの名前は[Forno Sartoni]。
fornoはイタリア語でオーブンのよう。
Sartoniは姓で、ご主人なのか。
店はいかにも家族経営といった感じで、奥でご主人
らしいおじさんが作業。表は、マダムなのか娘さんか、
女性が対応。
さて、しばらく歩くと、広場に出た。
ここはシニョリーア広場(Piazza della Signoria)。
今までのものよりも随分と広い。
馬に乗った人物の銅像と、噴水。
角の建物は、これ。
広場の名前のSignoriaは支配、統治といった意味のよう。
そして、由緒ありそうな塔のある建物がヴェッキオ宮殿
(Palazzo Vecchio)。
これが名にし負う、メディチ家のお屋敷。
実は、メディチ家の宮殿はこの界隈に他にもまだまだ
あるのだが、ここが中心か。
13世紀末から14世紀にかけて建てられたもので、当初は
フィレンツェ共和国の政庁として。
メディチ家は皆さんも聞いたことがあろう。
15世紀、ミケランジェロ、レオナル・ド・ダヴィンチなどの
ルネサンス黄金期を支えた家。
くる前に多少でも知識を入れておこうと、フィレンツェ史の
新書を読み始めたのだが、あまりにも深いので早々に
あきらめてしまった。
フィレンツェは街全体が美術館ともいわれるが、フランスの
作家スタンダールだったり、ドイツの詩人リルケなど、
ヨーロッパだが他国の文化人もフィレンツェを訪れると
この圧倒的な美術、文化の量とエネルギーに文字通り眩暈
(めまい)を憶え、酔い、気分がわるくなるといっている
よう。(池上俊一「フィレンツェ」2018岩波新書)
まあ、トウシロウはその雰囲気だけでも味わえれば
十分であろう、と。
これが、広場の銅像。
誰?、これ。きっと超重要人物。この人くらいは知っておこうか。
コジモ・メディチ一世(Cosimo I de' Medici)という人だそう。
名前でおわかりのようにメディチ家の人。
調べると、16世紀の初代トスカーナ大公(1519年〜1574年)。
大公は、タイコウと読むが、欧州貴族の称号。
余談だが、今も存在する大公は、ルクセンブルクの君主、
アンリ・ルクセンブルク大公だけらしい。(王様=Kingまで
行かないが、ある一定範囲の君主、大領主といった感じか。)
先に書いたように、あまりにも膨大で面倒なので、今回の
イタリア旅行は関係する細かい歴史、政治、文化、美術も
最低限だけで細かくは触れないことにする。ただ、まったく
触れないのも、なにしに行ったのかわからないので、まあ、
ざっくりで。
トスカーナと聞くだけでなんだかお洒落だが、トスカーナは
現在、フィレンツェが州都でイタリア中部の州の名前であり、
この地域の古くからの名前。
コジモ一世はフィレンツェ、トスカーナの初代の君主で、
このあとメディチ家はトスカーナ大公を世襲するようになる。
わかりやすくいえば徳川家康的な人?。
ただ、フィレンツェは商業で発展し、メディチ家は日本の
戦国大名のような存在ではなく、銀行が本業。コジモ一世以前は、
先に書いたようにフィレンツェも13世紀から共和制であった。
まあ銀行家から成り上がったということになろうか。ただ、
ローマ教皇もメディチ家から出しており、各方面に力を
及ぼしていたよう。
この人の時代1564年にミケランジェロの葬式をしているとのこと。
まさに、ルネサンス真っ只中。
この頃のフィレンツェの力はかなりのもので、メディチの銀行は
欧州最大であったともいい、大発展しており、その財力がやはり
ルネサンスを支えたのであろう。
さて、このヴェッキオ宮殿は、今は、フィレンツェ市
庁舎になっているよう。
ただ、実は、ヴェッキオ宮殿は巨大で、この一角東側の
通りまですべてで、東の2/3は有料の美術館になっている。
この広場に接した部分は無料で入れるところもあるよう。
これがその玄関。
上の方に文字が書かれているが、ラテン語のようで
わからない。一番上だけは十字架で、YHSはキリストのこと
というのは、わかる。(私、なにを隠そう、カトリック教徒
ではある。熱心さとは程遠いが。)
入るとすぐに中庭と四角形の回廊。
柱に実に細かい彫刻と彩色された絵。
天井。
これもその延長で、エレガントな装飾絵。
驚いて写真を撮ったが、この後もこんな見事なものが続く、
ほんの序章ではあった。
つづく
Corte Calzaiuoli Elegant Suites
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