断腸亭料理日記2024

雷門・うなぎ・初小川

4648号

9月17日(火)夜

さて。
沖縄座間味を書いている間に食べたもの。
書いておきたいものを、少し。

うなぎ、なのだが、かなり久しぶり。

雷門の[初小川]。

どのくらい続けているか調べていないが、
少なくとも、今年2024年ミシュランビブグルマン掲載。

創業明治42年(1907年)。
浅草には、江戸創業が複数あって比べれば若いが、
むろん、ここも堂々たる老舗である。

そんなこともあって、予約も取りにくく、
敷居が高かった。

当日だが、幸運にも予約が取れた。

[初小川]は雷門二丁目。
旧町だと浅草西仲町になるのか。

手打ちラーメンの[馬賊]のある通り。
真っ直ぐ北、雷門通りの向こうはオレンジ通り。

6時半の予約。
タクシーで向かう。
最近、近くでもタクシーはアプリで呼ぶことにした。
アプリで呼んだタクシーの人の方が、態度がよい。

どうしてであろうか、東京のタクシー運ちゃんというのは、
昔からひどいものであった。皆さんもそう思われよう。
今でも、返事もしない、横柄、タメ口などなど、とても
客商売とは思えぬ者が少なからずいるのは変わらなかろう。

前にも書いたが、地方へ行くとその態度のよさに
驚くことが多い。京都がよいのは有名である。
大阪もわるくなかろう。また福岡もよい。名古屋は、
どうであったか、住んでいたのはだいぶ前なので忘れて
しまったが、東京ほど腹を立てたことはなかったのでは
なかろうか。

なぜ東京のタクシー運転手だけ態度がわるいのか。
昔からのものなのか。
私の知っている20年30年前は既にわるかった。

今は名称を変えているようだが東京にはタクシー近代化
センターというのがあった。これはサービス向上を
目指して昭和44年(1969年)作られている。それで、
かなり改善したという。悪名高い乗車拒否。通報すると
かなり重いペナルティーが課されたよう。だが、そう。
それ以前はもっとわるかった、ということになる。
嗚呼。タクシーの前は人力俥、その前は駕籠?。
落語に出てくる、人力俥も駕籠も威勢がよいキャラに
描かれることが多い。まあ、威勢がよいというのは、
決して態度がよい方向ではなかろうが。

ともかくも、今、アプリ(GOだが)で呼んだ人は、私の
経験の範囲限定だが、すべてちゃんとしている。
足が付く、というのか、乗せて終わり、ではない、
ということになるか。
手数料を払ってでも、腹を立てるよりは、ずっとよろしい。

まったくの、閑話休題。

18時半の予約。

店前。

白い麻の暖簾。

小さな店だが、なかなかの風情。

入って、名乗る。

目の前の囲炉裏のようなテーブル席へ。

様々な装飾品は江戸趣味なのだが、暖簾の文字、あるいは、
店自体の造作などはちょっと民芸風であろうか。
このあたりも戦争で焼けているので、この店舗が
できたのはおそらく戦後であろう。その時代の流行で
あったのかもしれぬ。

ビールをもらって、ここは味噌豆も。
ご近所小島町[やしま]のお通し味噌豆は、ご主人が
修行されたここ譲り。

あとは、もちろんいつも通り、白焼き一人前と、うな重。
どちらも安い方(3800円也)。

ビール。

お通しの揚げた骨と、お新香。

東京のうなぎやはお重に付くお新香を酒の肴に
先に出す。
そう、そして、ここも奈良漬けは出ない。

漬物と新香は私は言葉としても使い分けている。
よく漬かったものが、漬物。奈良漬けは漬物。
浅漬けに近いものが、ぬか漬けでもお新香と
呼ぶのが正しかろう。新しい漬物だから。
やはり東京は漬物ではなく、新香なのである。

ともあれ。

味噌豆。

青海苔に辛子、刻んだねぎがちょっと。
しょうゆをたらして、つまむ。

そして、白焼きから。

わさびじょうゆで。

もちろん、格別。

肝吸いがきて、お重。

山椒を振る。

毎度書いているが、このお重のふたを開けて、山椒を振る
瞬間がたまらない。

そして、おわかりになろうか、ここのご飯。
この写真を見ても気付くだろう。
堅め。
東京の丼物の飯はこうでなければならない。

蒲焼は、甘さ控えめ、きりっと江戸前。
浅草の味、といってよい。

うまい、うまい。

ご馳走様でした。

帰りももちろん、アプリで呼んだダクシーで。

 


台東区雷門2-8-4
03-3844-2723

 

 

 

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