断腸亭料理日記2024
4586号
6月20日(木)夜
さて、木曜日。
週末から、遅れていた梅雨入りするとも言っているが、
今日も暑い。最高気温28.4℃(11時53分)。
暑いので、今日は出掛けないことにした。
寝坊をした、というのもある。
なにを、作ろうか。
豚ロースが凍っているので、かつを揚げて
かつ丼にしよう。
実は今週、火曜日、かつ丼は食べていた。
毎度お馴染み、ご近所の元浅草[砂場]
で、ミニかつ丼ともりそば。
かつ丼を自分で作ろうとすると、結構な
手間、で、ある。
とんかつを揚げ、さらに玉子とじを作らねば
ならない。
とんかつでやめても、ちゃんとしたおかずになる。
なぜこんな面倒なものができたのか。
最近異説もあるようだが、かつ丼の発祥は、
大正2年(1913年)早稲田のそばや[三朝庵]と言われてきた。
早稲田の学生の宴会がキャンセルになり出すつもりで
肉やから買っておいたとんかつが余ってしまった。
これを再利用して親子丼の鶏をとんかつに替えた
かつ丼を考案した、と。
先の[砂場]も然りだが、東京のほとんどのそばやには
かつ丼がある。それに対して、東京のとんかつやには
ほぼかつ丼はない。早稲田のそばやが発祥で、東京の
そばやに広まったというのは、なかなかに説得力があると
思うのである。自然ではないか。
(ちなみに、今もそばやのかつ丼のカツも、肉やから
買ってくるところが少なくないよう。先の元浅草[砂場]は
内製である。念のため。)
明治終わりから大正にかけて、全国的に豚のカツレツは
大流行していた。原因は軍隊食で豚のカレレツが出ており、
人気メニューになった。日清・日露の戦争に行った男たちが
豚のカツレツのうまさを知ったということらしい。
それで、この明治終わりから大正の頃、町には豚のカツレツ
を出す店が多く生まれた。これがそれ以前の洋食やから
豚のカツレツだけを出すとんかつやの独立といってよい。
また、この頃、豚カツレツの大ヒットとともに様々な
アレンジメニューも全国で開発された。
それが、ご飯の上にのせたかつ丼。
今も地方に点々と残っている、ソースかつ丼やら、
デミグラスソースを掛けたものやら、色んな形が
生まれた。その中で、玉子でとじたものが、東京では
一般化し他の形は駆逐されたと考えてよいだろう。
おそらく東京にもソースかつ丼はあったのであろう。
また、逆に東京以外のどこかで玉子とじのかつ丼も生まれて
いたとしても不思議はない。つまり、どこが最初かは
あまり意味はないことかもしれぬ。
ともあれ、かつ丼というのは、やはり東京の伝統的
食い物といってよいだろう。
さて。豚ロースを一枚解凍。
時間があるので、自然解凍。
一枚だけ揚げるのは不効率である。
合理化したい。
油鍋に油を移し、180℃で余熱をしておく。
まず、片面に塩胡椒。
そして、両面に小麦粉。今日も天ぷら粉にしてみる。
一枚がやっと入るプラスチック容器に全卵を
割ほぐす。そして、ここにも天ぷら粉を少し。
軽く混ぜて、肉投入。
両面、しっかりつける。
!。思い付いた。この玉子液を捨てて、ここに
直にパン粉を入れてしまえばよいのだ。
ここ残念ながら写真を撮り忘れている。
両面、パン粉をしっかりつける。
玉子液→パン粉の二往復という技もあるので
これは、わるくはない。
再度点火。油温180℃に上がったら、投入。
しばらくは触れない。15秒以上。
ここから、ひっくり返しながら、狐色まで。
揚がった。
玉ねぎスライスの用意。1/4個分。
丼鍋を用意。
玉ねぎ、桃屋のつゆ、少し水。
点火。煮立ったら、一応つゆの味見。OK。
ふたをして玉ねぎに火を通す。
カツを切る。
丼鍋へ。
玉子二個をボールに溶く。
半分を丼鍋へ。
点火し、ふた。
冷凍庫の飯をレンジ加熱し用意。
ある程度固まった。
先日の親子丼同様、ここで残りの玉子を入れて、
終了。
丼のご飯へ移動。これは、まあ、ある程度崩れるが
一気に。
出来上がり。
めかぶと柴漬け。
今日は味噌汁はなし。
ビールを開けて食べる。
まあ、大失敗や、逆に極上のかつ丼というのも、
ないかもしれぬが、普通にうまいかつ丼ができた。
上々、で、あろう。
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