断腸亭料理日記2024
4587号
6月22日(土)夜
さて。
今日は、毎度お馴染み、浅草[弁天山美家古寿司]。
前回は4月であった。
6時から予約。
内儀(かみ)さんとタクシーで向かう。
伝法院通りの信号で降りる。
馬道通り北へ向かって左側、数軒目。
暖簾を分けて入る。
今日もカウンター、テーブル含めて、
予約で一杯の札が掛かっている。
入って、つけ場の若親方にご挨拶。
若女将もいらっしゃった。
若親方前のカウンターに掛ける。
ビールはキリンでした、っけ?。
はい、お願いします。
ビールがきた。
お通しは、すみいかの下足。
軽くぽん酢しょうゆ、か。
つまみは、なにがありますか?たこは?。
あ、たこはあります、と若親方。
お!、ラッキー。
これは食べずには、いられない。
それから、鰹は。はい。
たこ。
ちょっとしょうゆをつけて見たが、わさびのみが
よいかもしれぬ。
今は、なかなかのレアものになっているが、
このところ、ある、か。
江戸前仕事を施された、江戸前の真たこ。
身がしまって、ちょっとホロっとしている。
香りもよい。
いわゆるゆでだことは、まったくの別物。
食べたことない人は、是非経験してほしい。
そして、こんなものを出してくれた。
鱸(すずき)。
あらい、とのこと。
掛かっているのは、味噌のように見えるが、梅。
食べてみると、梅肉だけではなく、鰹が入っているよう。
聞いてみると、その通り、とのこと。
酸っぱすぎない、文字通りよい塩梅。
そして、鰹。
たたき。
目には青葉山ほととぎす初鰹
まだ、時期としては、いわゆる初夏の“初鰹”
のはず。
アップ。
おわかりになろうか、この脂。
とても初鰹のものではない。
どういうことであろうか。
若親方にいうと、やはり、そうですよね。
と、やはり驚いてた、とのこと。
どこかと聞くと、三陸とのこと。
え!?、と、またびっくり。
この脂はのりは、完全に秋の戻り鰹である。
鰹というのは、春、南から黒潮に乗って、太平洋を
日本列島に沿って北上する。
そして、秋に南下。この時には脂がのっている。
これを戻り鰹という。と、いうことであったはずだが。
この時期の三陸で既にこんなに脂がのるとは。
やはり、温暖化、ということなのか。
まあ、うまいので、よいのだが、、、。
そして、にぎり。
甘酢生姜が置かれる。
ご存知、鮨やの符丁で“ガリ”。
ここのは、いつもそうだが、自家製。
やはり、今の時期の新生姜を使う。
甘すぎず、酸っぱすぎず。
うまい生姜。
そして、白身から
平目昆布〆。
ねっとり、うまみ、あまみが凝縮。
いか。
すみいか、なのだが、珍しく格子の包丁目入り。
京料理などの割烹系では、いかには包丁目を
入れるのが通常だと思うが、江戸前では入れないのが
普通。
このすみいかはさすがに厚いので、入れた、とのこと。
8月くらいか、代替わりした子供、新いかが登場する。
それまでのお愉しみ。
鯛。
先日も書いたが、この時期の鯛はうまい。
脂がのる。
だが、毎度思うのだが、ここのにぎりは厚切り。
東京の鮨やの中でも厚い方だと思う。
古い江戸前を継承するこの店の系統の店でも
厚いのではなかろうか。
他の店が薄くなっていったのか。
そして、これ。
これは、しまあじ。
うまいし、美しいではないか。
つづく
台東区浅草2-1-16
03-3844-0034
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