断腸亭料理日記2024
4593号
7月2日(火)第一食〜
さて、ここ。
ご存知であろうか。
当時、かなりの列かつ、入ってからもかなり待った。
ミシュランピブグルマンにも掲載された経験も
あったと思う。(調べると直近23年、24年は掲載はない
よう。)
以前は西浅草のほんとに路地の裏の裏にあったのだが、
昨年の4月に、今の田原町交差点そばに移転、再開店
していた。
毎日のように前は通っているので、移転したのも
知っていた。
具体的な場所は、田原町交差点から上野方向一つ目の
通りを左に入って、すぐ右側。
実のところ、最初に行ったきりであった。
いわゆるカリスマ店というのか、そんな状態に
なると、まあ実際の価値を越える。
交通費と時間を掛けて、わざわざ訪れ、長時間待って、
食べる。
むしろ、そういうことをしたい人のための店。
たのしいのはわからぬでもないし、前にも書いているが
江戸時代の江戸人から、食い物はもちろん、植物だったり、
小動物、鳥、などなど、様々なものがブームになり時に
法外な値段が付く、なんということを繰り返してきた。
まあ、伝統的江戸人、東京人の習性ともいえるよう。
(これをオタク、というのであろうが。)
が、やはり、冷静に考えれば、近所に住んでいつでも
行ける身としては、コスパはともかく、タイパは、
明らかに合わない。
引っ越し後はたまに一人二人の列を見る程度ではあり、
ちょっと行ってみる気になったのである。
昼は14時半までのよう。
14時少し前に到着。一人の待ち、か。
店前に整理券を発行する装置が置かれ、ここから
整理券を取って、店前ではなく、道の反対側の路肩に
並ぶよう。
位置に付いて、それでも5分たたずに、呼ばれた。
なかは冷房が効いている。
カウンターのみ。木調でちょっと和のバーのよう。
まだ新しい。
以前は小料理屋の居抜きのような店内であったが。
そして、以前同様、ジャズが流れている。
奥に髭の渋いご主人と女性二人の三人態勢。
以前に比べて、これならば効率はよさそう。
女性が注文を取りにくる。
夏ということだからか、おろしそば、というのが
あるのを調べてきた。
それと、以前にきた時にもあった、ソースかつ丼。
きた。
おろしそばは、気持ちのいいくらいシンプル。
ねぎと削り節がのっているだけ。
ここの麺は手打ちの自家製であったか。
全粒粉?。気持ち平打ちのちょい縮れ細め。
しこしこ。
おろし、といっているが、大根おろしの搾り汁
のみのよう。具はまったくなし。潔い。
かなり、ピリリ。
もちろん、大根汁のみではなく、味が付いている。
見た目通り、しょうゆ系、、、なんらか出汁も
入っているのであろう。油、脂系はまったくない。
味は、濃くもなく、薄くもなく、絶妙。
かなりうまい。
誰かが、おろしの日本そばに近いと書いていたが
そんなことはまったくない。甘辛のそばつゆとは
違うし、第一、より太い腰のある中華麺。
中華麺におろし、それも汁だけを合わせる、
というのは、ありそうだが、私は今まで経験した
ことはない。これぞ新しい麺といってよいだろう。
こういうものを設計し、作って出せるご主人、
やはり、只者ではない。流石。
付いているのは、ねぎ油、といっていたか。
味変、ということだが、当初の味で十分。
ソースかつ丼は思いがけず、なん枚もかつがのり、
大満足。ソースかつ丼が食べられるところは
なかなかないが、ここにあったか!。
さて。
翌日、7月3日(水)、ノーマルなものも
確認しておくため、またきた。
13時45分頃。待ちはほぼなし。
ノーマルなしょうゆに、麺がちょい細と、平打ち
縮れを選べるが、細い方、味玉足し、にしてみた。
青みは小松菜、チューシューは二種。低温調理のもも(?)と
焦げ目の入ったバラ。
メンマにねぎ。
昔のものと比べてみたが、ずっときれいになっている。
麺。
細い、といっているが、比較の問題。
一般にはノーマルであろう。
太い方は、平たく、パスタのタリアテッレは言いすぎだが
かなり太い。
以前に一度だけ食べたのが塩であったようだが、
まったく覚えていないが、濃厚でバランスが取れている、
と書いている。
これもやはり、同じ印象。
まったく、私などには分析できず、なにかが突出
している、ということもなく、バランスが取れており、
それでいて濃厚。
やはり、流石、で、ある。
麺 みつヰ
X(旧twitter)
台東区寿2-9-15
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