断腸亭料理日記2024
4596号
引き続き、日比谷のグランメゾン[アピシウス]。
内儀(かみ)さんの前菜「漁師風 魚介のマリニエール」。
ちょっと、私達には馴染みのない料理といってよい
ように思う。
魚介を白ワインで蒸し煮にし、その煮汁をいわゆる
乳化、ソースとする。
マリニエール自体が漁師風という意味でもあるようだが、
このソースの名前にもなっている。
なにがすごいといって、この魚介、甘鯛だったり、ほたて
への火の通り方。生でもなく、もちろんパサパサでもなく、
プリプリだったり、フワフワだったり、絶妙なのである。
中華などの炒め物でも、達人の火の通し方には、
感動を覚えることは多いのだが、フレンチでもこういう
ことがあるのか、という仕上がり。
和食、そう、天ぷらであろうか。天ぷらは火の通り方が、
すべてといってよい料理であろう。達人はこれを追求する。
生で食べられる魚介を最もうまい状態に火を入れる。
日本人の魚介に対する味覚の敏感さは世界一高い
のではなかろうか。この料理を作っているシェフも日本人で
あろう。魚介それぞれの最もうまい火の通り方は当然心得て
おり、そこを追求されているはずである。
最強である。
二品目、魚料理。
「カナダ産オマール海老のポシェ コリアンダー、
エストラゴン風味」。
付け合わせは揚げたポテトと青唐辛子、ボイルしたオクラ。
見返すと2017年にここにきた時の魚介も仕上がりは
違うがやはり、オマール海老であった。
まあ、高級フレンチでは定番ということであろう。
まず、言葉の意味だが、ポシェ。
ポシェは水や白ワインなどでゆっくりゆでる、煮る調理法
とのこと。
アップ。
よい色。ソースを付けずに食べると、プリプリ。
ざりがに、オマール海老そのものの味。
英語はロブスターだが、ザリガニなので、伊勢海老、車海老
など、種としての海老とは違う味。まあ、あまり食べることも
ないので、そう馴染は少ないが。
では、なにに近いのかというと、ヤシガニ。あれもうまい。
沖縄ではレア、パラオだったり、太平洋の南の島で食べた
ことがある。ヤシガニはヤドカリの類。香りとうま味が濃い。
海老と蟹の間のよう。
そして、ソース。
やはりこれがポイントであろう。
アメリケーヌソースとギャルソン氏は言っていた。
5月に帝国ホテルの[ブラッセリー]で食べた
「海老と舌平目のグラタン“エリザベス女王”風」
でもソースとして出されていた。
まあ、えびかにから取ったソース。
皆が好きな、えび味噌、かに味噌にも近く、うまい。
で、これにさらに、エストラゴンとコリアンダーの
香りを付けているというわけ。
エストラゴン(英語でタラゴン)はフレンチでは定番だが、
私は使ったことがないのでよくわからぬ。キク科でヨモギに
近いよう。コリアンダーはいわゆるパクチー。
まあ、一言で言えば、ちょっとエスニックな感じの仕上がり
ということになろうか。
タイだったり、東南アジアのテーストを入れてみた、のか。
暑いので?。さわやか。
そして、肉料理。
私の鴨。
「鴨のカイエット仕立て トリュフ入りジュのソース」。
カイエットというのは、網脂で挽肉の団子を焼いたもの。
まあハンバーグ。フランスの田舎料理とのこと。
つまり、ある程度定番フレンチか。
付け合わせはなにかは忘れてしまったが、野菜の
フリッター。
カイエットの下には小さな粒々、レンズ豆。
枝豆も。
ソースは、うまい。
フォンドボーのように感じられる。
が、ジュ、というのは、フォンよりも抽出時間の短い、
出汁とのこと。まあ、私には違いはわからぬが。
この中に細かく切った、トリュフが入っている。
切ると、
こんな感じ。
鴨肉は、粗挽き。
かなりのボリュームで食べでがある。
ずっしり。
豆がレンズ豆が主で枝豆も入っている。上にのっている緑も
なにかの豆の葉っぱ(これがレンズ豆かも)のよう。
(そういえば、日本ではレンズ豆はあまり食べられていないのは
なぜであろうか。インドのカレー、アラブ料理にもよくあるか。
原産は中央アジアのよう。)
調べると、鴨肉とレンズ豆などを合わせるのは、
フレンチでは定番のよう。
フレンチというのは、様々な知識がないと、
理解すら及ばない。
だが、それだけおもしろい、ともいえよう。
内儀さんの肉料理。
シストロン産仔羊のコートフィレ肉 シュヴルイユ風。
付け合わせはハッシュポテトとクレソン。
ソテーでよいのか。中は見た通りピンク色。
柔らか。
シストロンというのはマルセイユの北、羊肉のブランド
のよう。コートフィレはラムの最上部位。
シュヴルイユはフランスの鹿の種類のよう。
つまり、シュヴルイユ鹿料理風?。
まわりを脂で巻いているのが、それにあたるのか。
ソースは赤ワイン系。
つづく
千代田区有楽町1-9-4
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