断腸亭料理日記2024

蔵前二丁目・そば居酒屋・みたて

4633号

8月30日(金)第一食

さて。
そばは続く。

ここ、前から気になってはいたのだが、どんなものか。
なんでも、山形の肉そば、という。

一方、台風も続く。
九州を縦断し、東に向きを変え、今日は四国。
相変らず、ノロノロ。
中部、東海から関東は、時として豪雨に見舞われ、
がけ崩れ、浸水の被害が出ている。
なんであろうか、この台風は。

台東区の私の住むあたりは、ハザードマップ上は、浸水危険
区域になっている。

上野の山の南東は元来は低湿地で沼や池であった。不忍池は
それを残したものである。江戸初期にそれらを埋めたてて
この界隈はできている。
今も海抜が2〜3mと低く、荒川・隅田川などの増水と、高潮が
重なると数mの浸水可能性があり、2〜3日から2週間続くと。
過去、大正6年(1917年)には、台風と高潮によって「東京府の
死者・行方不明者数は日本全体の半数近くの563人に上っ」
(ウィキ)ている。
この時の、ご近所、浅草本願寺前の写真を見たことがあるが
あたり一面、ひざ下あたりまでの水位であった。

拙亭は8階なので、部屋は直接浸水はしないが、おそらく
陸の孤島になり停電、断水。その状態で生き延びねばならない
ことになる。覚悟を持って備えねば。

地震、津波、台風、、。忘れているが、江戸期には富士山と
浅間山が噴火している。関東平野の赤土、ローム層はこれらの
火山灰である。数週間?数か月?、東京は麻痺状態になろう。
よく被害に見舞われた方が、こんなの見たことがないと
語っているが、自分の記憶など、たかだか数十年である。
東日本大震災の先例、三陸の巨大地震と巨大津波、は、
平安前期(貞観11年(869年))の貞観地震ともいう。
自然災害は数百年〜千年のスケールで考え、常に、そこに
あるものとして備えることが肝要であろう。
起こらねば、ラッキー、と。

ともあれ。

今日も、引き続き、時として豪雨模様。

やはり、やみ間をみて、蔵前まで出てみよう。

[みたて]という。今年の4月、できたばかり。
場所は国際通りと江戸通りのY字路の東側、裏通り。
この通りもよく通るが看板も、あるような、ないような。
気が付かなかった。

昼は14時までの営業のよう。
13時半すぎ到着。

ビルの1F、扉を開けて入ると、
奥に長い小さなバーのようなところ。

内装もアンダーな照明でお洒落。

蔵前もこのあたり特にお洒落な街になってきた。

お客は、こんな天気だが、数人。

カウンターに掛ける。

お兄さんのワンオペのよう。

冷たい肉そばと、きまぐれミニ丼をもらってみる。

ややあって、きた。

肉そばと左、小鉢、右、ミニ丼。

小鉢はポテサラ。
角切りベーコン入り。

ミニ丼は、説明はなかったが、肉そばの肉(鶏)と
おそらく“だし”、ののったもの。

“だし”というのは、私も初めて食べると思う。
妙な名前だが、山形の郷土料理。きゅうり、なす、大葉、
茗荷、といった夏野菜を細かく切ってしょうゆなどで
軽く漬けた、浅漬けといってよいのだろう。
夏のご飯のお供になるのか。

爽やかで、うまい。

そばのアップ。

そばは、太い。腰も強め。

私は、過去二度、山形で肉そばを食べたことがある。

肉は、豚ではなく、鶏。
それも、親鶏。
歯応えのあるもの。
肉の味付けは濃い甘辛。

つゆも比較的濃いめの甘辛であろう。

親鶏というのは、産卵をおえた雌鶏。
福岡のかしわめしだったり、親鶏を使うことを謳った名物料理が
全国にあるが、安く、庶民の料理ということであろう。

いわゆる若鳥に対して、しっかりした歯応えで、
また別のうまみがある。

これ、考えてみた。
東京のそばやには、鶏南蛮というのがあるが、
確かにあれ、もう一つ、ではないか。
なんというのか、物足りない。
そばに負けている、とでもいうのか。

やはり、親鶏を使う必然性はしっかりある。

山形肉そば、うまいもんである。

 

みたて・食べログ公式

台東区蔵前2-1-23 1F

 

 

 

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