断腸亭料理日記2024
4613号
8月1日(木)夜
8月に入った。
最高気温33.5℃(11時51分)。
相変らず暑いが、多少今日は低め。
吉池をなんの気なしに、のぞいてみる。
すると、珍しいものがあった。
きす、で、ある。
先日、三筋の天ぷらや[みやこし]で食べたが、
書いている通り、最近、吉池などではめっきり
見かけなくなった。
やはり獲れていない。業務用にまわっているのであろうが、
もはや高級魚という値段になっているという。
が、なぜか、あった。
千葉県産、6匹入って、553円。
まあ、安くはないがあっただけ、驚き。
自分でさばかねばならぬが、これは、買わねば。
もちろん、天ぷら。
これだけでは、さびしいので、モロッコ産甲いかの下足も。
大根も買って帰宅。
これ。
それにしても、どうしたことでだろうか。
そういえば、最近なにかのつり番組で、東京湾で、
鯵とともに、きすも釣れているのをみた。
今、獲れているのか。奇跡的に?。
ちょっと調べてみた。
東京湾のきすは、船橋、葛西など東京湾北部ではなく、
富津、木更津など南部のよう。
近年のきす(シロギス)の漁獲量は、やはり漸減のよう。
(減っているのは、きすに限らず全般のようだが。)
今年だけ、やはりなにかの加減で獲れている、
釣れている、といった方がよいよう。
俄かに資源として回復しているとはまあ、思えなかろう。
やはり、どうしてもある一定以上東京湾はきれいに
ならないよう。なにか抜本的な取り組みが必要ではなかろうか。
ともあれ。
きす。
鱗があるので、取る。
小さいので、すぐ。
頭を落として、腹を出す。
さて、ここから開くわけだが、ここが苦手。
一度腹から包丁を入れ、尻尾まで開く。
そして、頭側、上になっている身を中骨から外す。
プロはささっと、やるのだろうが、中骨に包丁の
歯がひっかり、なかなか切れない。
小さい魚なので、大名おろしにはしたくない。
苦労をして、開く。
ここから、さらに下の身から中骨を外すのだが、
これも同様に難しい。
なんとか尻尾近くまで骨を外す。
最後に中骨の付け根に刃を入れて、トンっと切る。
最後に腹骨を取って、
完成。六匹。
六枚全部は多いので、半分は冷凍庫へ。
天ぷら油を揚げ鍋に用意。余熱をしておく。
下足。
洗って一口に切る。
きすと、下足に粉。粉は天ぷら粉。
ボールに全卵一つを割りほぐし、水、氷二個。
玉子水に天ぷら粉を加え衣に。今日はいつもよりは少し
堅めを目指してみる。先日の[みやこし]を思い出すと
きすでも衣はかなりしっかり、堅い。
そして、今日はもう一つ。
油温は、コンロの自動ではなく、180℃以上の
高温を維持してみようと考えた。
いつも柔らかめに仕上がってしまうのである。
衣を堅め、超高温でしっかり揚げる。
今の天ぷら油は、品質がよいので、180℃を越えて
煙が出るくらいでも引火するようなことはないらしい。
もちろん、短時間、揚がったらすぐに火を止める。
多少衣がいびつではあるが、揚がった。
火を止めると煙が多少出るくらいの高温になった。
下足も揚げた。
大根をおろす。
天つゆはいつもの通り、桃屋のつゆ。
出来上がり。
ビールを開けて、食べる。
めかぶにぽん酢しょうゆ。
和食の場合はまず必ずめかぶを食べている。
海藻、特にめかぶが好きなのだが、その上、お腹、
腸内フローラによく、長生きの秘訣ともいう。
さて、きす天、いかがであろうか。
意図通りに揚がったのではなかろうか。
長年[みやこし]のきす天を食べてきた甲斐が
あったというもの?。
しっかりした、堅い衣に揚がった。
いかだと、これは厚すぎるのであろうが、
きすだと、しっかり揚がってよい。
断面の写真でも撮っておけばよかったが、
これでも厚すぎはしない。
置いておいても、堅さはある程度保たれている。
これは超高温で揚げた威力である。
ちょっと、私の天ぷら、新しい次元に突入したか。
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