断腸亭料理日記2024
4614号
7月31日(水)第一食
少し前に、近所、稲荷町の洋食[ベア]が
惜しくも閉店してしまった。
出前でもありお世話になっていた。
先日の鳥越の[一新亭]も然りだが、やはり、
下町なので、戦前にルーツのある洋食やというのが、
なん軒もあったのだが、一軒一軒となくなっていく。
まあ、これは致し方のないことではあろう。
繁華街にあったり、名の知れているところは、
代替わりする人材もあったりするのであろうが、
町場の店はなかなかそれもできかねるのかも
しれない。
一方、今、東京には、こうした戦前からの洋食やの
系譜とはちょっと違う形の店がある。
洋食や、というよりは、洋風定食やといった趣き。
メニューは洋食だが、特徴は、量が多いということ。
ガッツリ系という言葉が生まれる前からあるガッツリ系。
名前もなぜか“キッチン”と名乗っているところ。
神保町系、キッチン系とでも言おうか。
[キッチン南海][キッチンジロー][キッチンカロリー]。
この三つが御三家といえよう。
皆さんご存知。
神保町、駿河台なんというところがルーツ。
まあ、学生街、で、ある。
これらは、戦後の開店。二軒が昭和30年代。
暖簾分けや、チェーン展開をしている。
しかし、なんであろうか、この店名のキッチンとは。
一番古いのが昭和25年(1950年)開店の[カロリー]のよう。
ここの真似をした、ということもあるのか?。
たまたま、なのか、この時期の流行であったのか。
(ちょいと調べたがわからなかったが。)
ともあれ。
そんな系統の店を見つけた。
住所は北上野一丁目で、入谷交差点のすぐ南、
昭和通り沿い。
元浅草の拙亭からは近所ではないが、まあ、
遠くもないところ。
清洲橋通り経由で浅草通りを渡り北上。
自転車なら10分ほど。
googleによれば昼は14時までのよう。(未確認)
13時半すぎ到着。
なかなかにぎわっている。
近隣のサラリーマンらしい人々が主だが、
夏休みだからか子供二人を連れたお母さんも。
なにがいいのだろうか。
ご存知(?)スタミナ焼きなどあり、
基本揚げ物中心のよう。
おかず2種のよりどりセット、というのも
あるが、かなりのボリュームになるのか。
メンチカツセットS。Sはご飯の量?。
ご飯は、きっと多いのだろうから、ノーマルで。
950円也。
きた。
ちょっとわかりずらいかもしれぬが、
やっぱり、ご飯の量が半端ない。丼一杯はありそう。
これでノーマルか。
メンチカツも特大。
草鞋サイズ。
野菜にマカロニサラダ、赤いウインナーが一本。
なぜか冷奴。
味噌汁は野菜だくさんの豚汁か。
メンチカツにソースを掛け回す。
断面は、
こんな感じ。
これ、かなり肉々しい。
衣もよい色、サクサクに揚がっている。
ご主人はなかなかの巨漢。
こういう人が作るものは、ボリュームがありうまい。
うまかった。
かなりの腹一杯。
ご馳走様でした。
[ベア]が仕舞ってしまった今、ちょっと距離が
あるが、行動範囲でこういう店を見つけられたのは、
ありがたい。
?
03-6231-7995
台東区北上野1-14-5 メゾンドール入谷 1F
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