断腸亭料理日記2024
4624号
8月14日(水)第一食
さて、カレー、で、ある。
内儀(かみ)さんが食いたい、とのこと。
で、考えたのは、駿河台下の[エチオピア]。
スパイスの強い、インドネイティブのものも
わるくはないのだが、年のせいだろうか、
やはり、日本人の作ったスパイス系のカレーが
安心できる。
それも、ここの開業は、昭和63年(1988年)。
今年で36年。立派な老舗。
元は、学生街の喫茶店でエチオピアコーヒーから
店名は[エチオピア]という。
その後、カレーがうまいので、カレー専門店に。
神田カレーの草分けの一つといってよいだろう。
支店もいくつかあるが、やはり本店がうまい。
今日は、午後、雷雨になるよう。
自転車でないと、駿河台下は拙亭からは行きずらい。
結局、本郷三丁目からタクシー。
14時半、到着。
ここは“カリー”ライス。
お盆だからか、店前に3〜4人の待ち。
最近また、若者にも知られるようになっているのか。
入って、券売機で購入。
ビールと私は、ビーフカレー。
内儀さんは、豆のカレー。
そういえば、ここで豆カレーも私は食べたことが
なかった。
ビーフ、チキン、海老、野菜があるが、ルーは同じ?。
そう、野菜と海老も食べたことがないのでわからないが。
豆はどうなのか。
それから、トマトのサラダとアチャール。
席は、うなぎの寝床の奥。
掛けると、じゃがいもと水。
マーガリンももらえるが、インド人のお兄さんも
忙しそうで、面倒なので、そのまま。
ここはカレーの辛さが指定できる。
私、ビーフは辛さ、3。
内儀さんの豆は、スケールが違うようで、1、
で、あったか(忘れた)。
ビールがきた。
ここは、なぜか昔からキリンのハートランド。
アチャールとトマトサラダ。
アチャールはマスタート入り。
辛めで、うまい。
トマトはタマネギとバジル、か。
インドというよりイタリアン?。
普通にうまい
暑いので、ビールはすぐ呑み終わる。
カレーもきた。
内儀さんの豆。
豆は、ルーとご飯が別盛。
豆は、ルーがさすがに違う。
サラサラ。
豆の種類は、ひよこ豆のよう。
なかなかうまい。
ビーフ。
辛さ、3。
気持ち辛め、程度。
これはもう、食べ慣れた味。
ちょっとクローブが強い。
これがうまい。
おそらくこのカレーの味が決まった当初は、
日本人の舌には、十二分に強スパイスであったろう。
だが、今となっては、十分に日本人が
食べられる味になっていると思われる。
先に書いたが、単に辛いだけではなく、各種
スパイスが強いインドネイティブなものもよいのだが、
そればかり続けて食べるのも疲れるではないか。
どうも、そっちの方がエライ!、という風潮が
あるようだが、そんなことは断じてない。
そんなあんた、お若い。
では、あんたは家庭のルーのカレー、学食、社食、
カレースタンドのカレー、ホテルの欧風カレーは
食べないか。スープカレーなんというのもある。
あれらは、低級?。どれもまずくはないし、
あれらはあれらで、日本人にはうまいはずである。
そう、別のものとして、うまいのである。
日本人にとって、カレーというのは、実に幅がある。
どれもうまい、のである。
その中で、どれが好き、という好みもむろんある。
ただ、優劣ではない。
すべて日本の豊かなカレー食文化である。
ともかくも。
そんな中で、ここのカレーは中間の存在として
十二分に存在感のある、うまいカレー、なのである。
千代田区神田小川町3-10-6
03-3295-4310
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