断腸亭料理日記2023

黒毛和牛フィレステーキと里芋

4458号

11月29日(水)夜

少し前から考えていたのだが、
いつもの

国産牛フィレを買ってきた。

ちょっと久しぶりかもしれない。

国産牛フィレのステーキ。

付け合わせは、色々考えたのだが、里芋。

ステーキの付け合わせに里芋というのも、
かなり妙ではあるが、里芋が食べたかった。

今、里芋は旬といってよいのだろう。

里芋というのは考えてみるとあまり食べなくなった。

芋といえば今は、じゃがいも。
肉じゃが、フライドポテト、ジャーマンポテトを始め、
里芋と比べると食べる機会は圧倒的に多い。
先日作った豚汁もレシピは里芋であったが、私は
じゃがいもで作った。

だが、芋といえば、以前は里芋のことを指していた。
これは地域性もあって、東日本の方が強いか。

私が学んだ日本民俗学では芋=里芋に特別な意味を
認めていた。
正月の雑煮に入れる地域も多い。
お節料理の煮しめにももちろん入る。
儀礼食のポジションを占めているといってよい、と。

東北地方で秋に行われる一大イベント、芋煮会の
芋も、里芋である。
おでんは味噌を塗って食べる田楽の頃から豆腐同様に
里芋も食べられていたし、汁で煮込むおでんになっても
東京では里芋は入れるものであった。

歴史的にも、里芋は稲作以前、縄文期から
食べられていたと考えられているよう。
農畜産業振興機構

里芋から米に主食が変わったといえるのか。
儀礼食に里芋が残ったのは、その名残、とも。

では、じゃがいもは日本ではいつから作られ
食べられていたのか、試みに調べてみた。
と、これが意外に古く、17世紀にはジャカルタから
入ってきており、ジャガタラ芋がじゃがいもになった
という。そして、江戸期、飢饉の時に飢えをしのぐもの
として広まった、と。 (農水省)明治以降かと思っていた。

ともあれ、里芋、少なくとも私も含めて東京の者からは
どんどん影が薄くなっていくのかもしれぬ。

閑話休題。

里芋はやっぱり火を通してそのまま、塩。
あるいは、煮っ転がしにとどめをさすだろう。
半分ずつ両方やろうか。

皮を包丁でむく。
今、里芋は水煮が売られているが、やはり
あれは柔らかすぎる。
自分で堅めに火を通したい。

皿にのせ、ラップをし、

レンジ加熱。
途中触って、様子をみながら。

じゃがいもも最近はレンジ加熱だが、里芋は
じゃがいもよりは早く火が通るかもしれぬ。
しばらく皿にタオルを掛けて保温。
余熱でも火が通る。

串を刺して、一応火の通りを確認。

半分、小鍋に移し、しょうゆ、砂糖、酒。

文字通り、転がしながら煮る。
ある程度色が付いたら、火を止め、つゆがかぶるように
鍋を傾けて置いておく。
置いておく時間を取ると、味が染みる。

肉。

今日は佐賀産。個体識別番号では、
ん?黒毛和種。

あ、これ、国産牛ではなく、黒毛和牛!。
見直すと、表示もそうであった。
値段はいつもの国産牛と同じくらいの3000円
ちょいであったが。

2歳半の雌。沖縄石垣市生まれ。
以後、佐賀県玄海町で肥育のよう。

両面軽く、塩。
フライパンにたっぷりオリーブオイル。

油が熱くなったらスプーンで油を上から掛け回し
ながら、焼く。

いい色になったらひっくり返す。

反対側もこんがり焼く。

皿に上げて休ませる。
ドリップを出し切る、のが意図だが、さほど出ない。
いつもより多少火を通しすぎか。

皿へ。
肉にはミルで黒胡椒を挽きまぶす。

里芋はどちらも、温め直す。
煮っ転がしと、塩を振っただけ。
http://www.dancyotei.com/2023/nov/beefsteak_fillet.jpg

ビールを開けて、切る。

焼き具合はこんな感じだが、まあ、よいか。

肉は、とにかく柔らかく、うまい。
また、うま味にもあふれている。
黒毛和牛だが、脂は強すぎぬ。
あえて、これを選んで売っているのか、わからぬが。

里芋は、塩と煮っ転がし、やはり、この二つの味が
最もうまかろう。

妙な組み合わせというのか、完全に別物。
だが、満足。

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月 |

2020 4月 | 2020 5月 | 2020 6月 | 2020 7月 | 2020 8月 | 2020 9月 | 2020 10月 | 2020 11月 |

2020 12月 | 2021 1月 | 2021 2月 | 2021 3月 | 2021 4月 | 2021 5月 | 2021 6月 | 2021 7月

2021 8月 | 2021 9月 | 2021 10月 | 2021 11月 | 2021 12月 | 2022 1月 | 2022 2月 | 2022 3月 |

2022 4月 | 2022 5月 | 2022 6月 | 2022 7月 | 2022 8月 | 2022 9月 | 2022 10月 |

2022 11月 | 2022 12月 | 2023 1月 | 2023 2月 | 2023 3月 | 2023 4月 | 2023 5月 |

2023 6月 | 2023 7月 | 2023 8月 | 2023 9月 | 2023 10月 | 2023 11月 |

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2023