断腸亭料理日記2023
4459号
11月30日(木)第一食
さて、ここ、やっぱり、書いておきたい。
路麺。
最近はもう少し緩くしているが、本来の私の定義は、
チェーンではない個人営業の立ち喰いそば。
台東区、中央区、千代田区、港区など
東京中心部にはかなりの数の路麺があった。
歴史的には、戦後になってできたものという。
戦争までの簡易そばやは、それこそ落語「時そば」に
出てくる江戸以来の担い売りのそばやであったと私は
考えている。
ノーマルかき揚げ、春菊天、を始めとして、
かなりの種類の天ぷらを用意し、格安でそばを
提供していた。
内容も実に様々。
生そばゆで立てのところもあれば、購入したゆで麺の
ことろもある。天ぷらも注文が入ってから揚げて
出すところもあれば、揚げ置きのところもある。
その天ぷらもカラッとしてるところもあれば、
ボテボテのところもある。
だが、どれもよい、のである。
ただ、あたり前といえば、あたり前だが、
やっぱり客が多く、活気のあるところがよかった。
不思議とゆで置き、揚げ置きでも、客が多く、
活気があるところももちろんちゃんと
あったのである。
客が多いから店に活気があり、活気があるから
また人がくる。そんなこともあるのかもしれぬ。
代表的なのは、歩いて行ける、小島町の角の店。
ゆで置き、揚げ置き、ぽてぽてであったが、
いつもにぎわっており、私も週に一度は朝、
寄ってから仕事へ行っていた。
だが、ここも惜しくも数年前に閉めてしまった。
一軒閉め、一軒閉め、昔からの価格と姿をとどめて
いるところはもう数えるほどになっている。
今も立ち喰いそばはそれなりにブーム感はあり、
新しくできるところもあるのだが、値段はそれなりに
高くなり、スタイルも変わっている。
だが、やはり私には魅力が足らない。
はっきり言えば、路麺のストロングポイントは、
クオリティーは問わない、ということなのかもしれぬ。
揚げたて、生そばゆで立てはうまいのだが、
そうでなくとも、十分成立するし、うまい、
のである。
どうせ、かき揚げなどは、衣を溶かして食べるから。
結局、早い、安い、それなりに、うまい、か。
まあ、昔のスタイルの路麺は薄利多売で、
なかなか成り立たないのも確かであろう。
私が自転車で行けるところにあって昔のスタイルを
留めて、うまい路麺はここぐらいかもしれぬ。
柳家喬太郎師は私と同じ昭和38年生まれだが、
大好きで、立ち喰いそば愛にあふれている。
正確には「時そば」の枕だが「コロッケそば」と
いう名作がある。
駅そばにはまずないが、路麺にはコロッケ、そして
(魚肉)ソーセージ天というそばにはとても
妙な取り合わせのものが必ずあった。
(この噺、興味のある方はネットを探して
聞いてほしい。)
駅そばはおそらくなくならぬが、早い、安い、
こういった昭和スタイルの個人経営の
立ち喰いそば、路麺は、まあ、時間の問題
なのかもしれない。
さて、今日は、天気がよい。
ただ、最高気温は12:58で16.8℃。
自転車で走るにはちょいと寒いが、
思い切って、日暮里まで行ってみることにした。
たいしたこともないが、少しは運動しなくては。
日暮里だと、讃岐うどんの路麺[おにやんま]
は最近もきていた。
[おにやんま]は東口ロータリー前でわかりやすいが、
[一由そば]
https://www.dancyotei.com/2022/oct/ichiyoshi.html
は日暮里駅の東口から向かって左側。
再開発ビルの左奥の細い通り沿い、尾久橋通りに
出る直前。
夜はきたことがないが、24時間営業。
ほんとうに、小さな店。
カウンターも10人も入れば一杯であろう。
外で食べている人がいることもある。
14時半、到着。
こんな時刻だが、やっぱり人気。
注文を受ける窓口は、3〜4人の列。
天ぷらは、一通りあるが、やっぱり看板は下足天
で、あろう。
下足天はジャンボというのもあるが、ノーマルで十分。
そばもノーマルの、下足天。
下足の切り方が大きいのであろうか、
これがうまい、のである。
食感もしっかり。
満足度は、高い。
そして、やっぱりこの店の活気、で、ある。
なぜ活気があるか、人が絶えないのか。
日暮里駅前という場所のよさもあるだろう。
荒川区という土地柄もあるか。
また、路麺らしいコストパフォーマンス。
路麺らしい、メニューのバリエーションの
多さ。
店が狭いのはむしろ魅力にもなっている。
そして、店員さんも男性で数人。
これ、意外にポイントではなかろうか。
路麺とは、男の世界だからであろうか。
おばあちゃんでもよいが、やっぱり店員さんは
男性の方が路麺らしく感じるのが不思議。
おそらく、まだここはがんばって続けて
行ってもらえるのであろう。
ありがたい。
荒川区西日暮里2-26-8
03-3806-6669
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