断腸亭料理日記2023
4305号
3月22日(水)夜
室町[砂場]を書いていたら、
そばが食いたくなった。
そばは乾麺として、冷凍庫に鴨がある。
これは国産。
もったいないので、なかなか食べられないでいた。
生わさびもある。
鴨せいろにしよう。
そばというのは、うまいものである。
中でも、鴨せいろ、というのは、かなりの
高得点が獲れるのではないか。
では、そばの種、としてなぜ、鴨せいろが
高得点なのか。
一般的に、そばの人気No.1メニューというのは
なんであろうか。
おそらく天ぷら、で、あろう。
天ぷらののった温かい天ぷらそば。
または、天せいろ、天ざる。
私は、天ぷらとそばが別になった、
天せいろ、天ざるというのは、まず食べない。
これ、やはりそばとしては邪道だと思うのである。
邪道は言いすぎとしても、天ぷらとざるそばが
完全に別物である。ただのセットメニュー。
天ぷらそばというのは、基本温かいものに
かき揚げをのせたものが、最初に生まれたと
いってよいだろうと考えている。
芝海老、あるいは、小柱。
安いところで、いか、ねぎ、でもよい。
路麺(立ち喰いそば)では、玉ねぎ、春菊。
などなど、温かいかき揚げそば。
どれも、うまい。
やはりこれが正しいのである。
かき揚げの衣がつゆでふやけたものがうまい。
天ぷらそばのそば抜きである、天ぬきは
これを酒の肴として特化させたもの。
ざるにしたいのであれば、先日の室町[砂場]、
上野[翁庵]のつけ汁にかき揚げを入れたものが
うまいし、正しいと思うのである。
で、鴨というのは天ぷらの上を行く。
むろん、値段も高いというのも大きい。
希少性である。もちろん、うまい。
甘辛のしょうゆのつゆと鴨のコクのある味と
香り、その相性のよさ、さらにそばとの相性のよさ。
同じ鳥の肉だが、鶏と比べても大違いに濃い。
鴨であれば、温かい鴨南よりも鴨せいろの方が、
やはり上。魅力度は高かろう。
これは温かいそばとざるとの比較になるが、
そばの味をより味わうのであれば、やはり冷たい
ざるであることは、多くの方が、同意
いただけるだろう。
と、いうことで、そばNo.1の鴨せいろ。
まず、昼から冷凍の国産鴨肉を解凍しておく。
溶けた鴨肉は、一口に切る。
そして、さらに脂のある皮を取って肉と分ける。
わさびは皮をむいておく。
鴨肉は叩いてつくねにするのもあるが、
今日は肉が多いので、そのままでよいか。
脂身から脂を出さなくてはいけない。
煮出すというのもあるが、焼いてみたら
どうだろうか。
細かく切ろう。
小鍋に入れて加熱、脂を出す。
ねぎを長く切る。
これは煮込み用。
同時進行でそばをゆでるための湯を大きな鍋にわかす。
脂が出た小鍋に桃屋のつゆ、水。
加熱し、煮込み、さらに脂を出す。
味見。
桃屋のつゆは、濃くてよいのだが、私の好みは
気持ちしょうゆを強くしたいので、少し足す。
長く切った、ねぎと鴨肉を投入。
鴨肉は、もろん熱の通しすぎは禁物。
軽く煮たてて、とめておく。
ここからそばをゆで、わさびもおろす。
薬味用のねぎも切る。
そばがゆだったら、洗って盛り付け。
そばは一箸分取りやすいように、まとめ、置く。
出来上がり。
酒ではなく、やっぱりビールがよいか。
薬味のねぎもつゆに入れる。
つゆに鴨肉がかなりの量入っているのだが、
沈んでしまった。
わさびを箸先に付け、一箸分のそばを取り、
鴨のつゆにつけ、一気に手繰る。
そばが気持ち柔らかくなってしまったが、
まあよしとしよう。
やはり、そばと甘辛のつゆと、鴨というのは
かなりの好相性である。脂もよい。
そばの中だけでなく、鴨料理の中でも、No.1
の食べ方、なのではなかろうか。
世界に誇れる。
フレンチなどでは、オレンジと合わせたりする。
あれもうまいが、おそらく上回る。
しょうゆ味に馴染んだ日本人、東京人だから、
ということもあろうかと思う。
だが、日本のラーメンはもはや世界中に広まり、
ホットな人気メニューになっている。
鴨のそばは昔からあるものだが、ポテンシャルは
かなり高いと思うのである。
いや、その前に、日本、東京のそばやで鴨を
看板にしたところがまずほしい。
いかがであろうか。
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