断腸亭料理日記2023

赤酢の酢飯で鉄火丼

4376号

7月14日(金)第一食

さて。

鉄火丼が食いたくなった。

鉄火丼、で、ある。

普通、鉄火丼というのどちらであろうか。
白い飯か、酢飯でか。
どちらもありであろうが、やはり酢飯がよい。

まぐろの最もうまい食い方というのは、
なんであろうか。

私は、刺身でそのまま、よりは、鮨。

酢飯との組み合わせがより、うまい。

中トロであれば、にぎり。

赤身であれば、海苔巻=鉄火巻。
もちろん、鉄火巻ならば中トロも相当うまい。

また、ねぎとろの細巻もうまい。

つまり、まぐろと酢飯と、さらに海苔が加わる。

この組み合わせが、ベストではなかろうか。

赤身の場合、どうしても血なまぐささ、というのが
付きまとう。
刺身だけ酒の肴にするよりも、わさびじょうゆで
ご飯のおかずの方がよろしかろう。

これがさらに、酢飯と海苔との組み合わせで、
血の味が緩和され、さらにうまみが増している
ようにさえ思える、のである。

赤身だけでは、やはり単調。
ねぎとろ用のまぐろたたきも。

吉池で調達。

赤身はバチマグロ太平洋産切り落とし解凍517円。
ねぎとろ用は二種類あって、ちょっと高い
“熟成”という方、465円を調達。

わさびは本わさびがベストではあるが、
鉄火丼だけのために買うまでもなかろう。
チューブで。

海苔はある。

まぐろは、これ。

準備は、いつも通り、飯台の箍(たが)が
緩んでいるので全体を湿らせ、流しに伏せ、
糸底に水を張っておく。

飯を炊く。

米を洗い、酢飯用の水加減をし、酢飯モードで
スイッチオン。
浸水時間はなし。

ご存知の通り、今の家庭用の炊飯器は浸水は
炊飯時間に含まれている。
逆に浸水した場合は、家のだと浸水を考慮しない
早炊きモードになる。

鮨酢の用意。

例によって赤酢(内堀醸造)と穀物酢(ミツカン)
7:3程度で合計40cc、を用意。

鮨酢に赤酢を使い始めてもうだいぶたつが、
赤酢以外には、私は考えられない。
理由は、うまいから。うまみが多いのである。

赤酢というと江戸前の鮨の代名詞のようだが、
正確には、粕酢といった方がよいことを最近知った。
赤酢というのは、酒粕から作るお酢だが、酒粕
から作っても赤くないものもある。
江戸前鮨やでは、赤酢ではなく、赤くない
粕酢を使っているところもある。

飯が炊けた。蒸らし時間8分。
一合を飯台へ。

鮨酢をかけ回す。

急いで、混ぜる。

混ざったら、また8分。

今日は、握らないので、酢飯ができたらのせるだけ。

海苔。いつも使っているのは、これ。

これをもんで、もみ海苔にしている。
吉池で買ったものだが、なかなか高いもの。
海苔の価格というのは、どうやって決まっている
のであろうか。ご存知の通りかなりの値段差がある。
毎度書いている通り、海苔というのは、うまいもの
がよい。まあ、あたり前ではあるが。
あるようだが、客観的に差がわかるような、例えば
数値のような基準はあるのであろうか。
前にも書いているが、お茶もそう。
かなり細かく値段が刻まれているが、どういう差
なのか。
伝統食品なので、昔からのことなのであろう。
きっと業界では、なんらかあると思うのだが。
明らかにできないのであろうか。
まったく数値基準はなく、職人の目利きのみ
ということなのであろうか。

酢飯を丼に盛り、もみ海苔。

伝統的に、東京のちらしは具の下に、海苔を敷く。
これ、やっぱりあった方が、絶対にうまい。
(まあ、それも、海苔がうまいのは絶対条件。
海苔がまずければのせぬ方がよい。)

まぐろ、赤身とタタキものせる。
ここで、ねぎが切れていたことに気が付いた。
ねぎはあった方がよいが、まあ、急いで買い足しに
行くほどでもなかろう。ねぎがなければ、成立しない
ということもない。

上からはさみで細く切って海苔も散らす。
これは、見た目。
わさびじょうゆも作る。

出来上がり。

わさびじょうゆもかけ回す。

これこれ!、鉄火丼。これが、うまい。
こんなもので、私は十分、で、ある。

 

 

 

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