断腸亭料理日記2023
4277号
2月11日(土)建国記念の日 夜
建国記念の日、で、ある。
むろん、戦前の紀元節に由来する。
戦争までは国を挙げて、大々的に祝っていた。
いい加減やめればよいのに。
日本書紀に書かれている神武天皇が即位した日、
ということではあるが、むろん創作であることは
歴史学的には認知されていることであろう。
今となっては、由来を一般国民はほぼ知らなかろうし、
戦後80年近くなりこの日である意味はなかろう。
大和王権の成立を建国とするとしても、
年月日など特定できるのであろうか。
できるのであれば、歴史学的にはそれが正しかろうし、
そうすべきであろう。難しそうだが。
あるいは、他になにか考える。
例えば戦後の、サンフランシスコ講和条約締結の日、とか。
まったくの、閑話休題。
今日は、浅草・弁天山[美家古寿司]。
TELで予約をしていたが、祝日は夜の営業はなし。
それで、16時半から。
タクシーを伝法院通りの信号で降りる。
数軒分歩いて、自動ドアを開けて内儀(かみ)さんと入る。
付け場の若親方に挨拶。
コートやらを預ける。
親方は見当たらない。
先客はカウンター奥に年配の夫婦一組。
若親方の前に掛ける。
鮨を食べたばかりのようだが、やはり別もの、
で、ある。
やっぱりビール。
お通しは、とり貝のひもであったか。
ゆでて、薄い甘酢であろうか。
つまみ。
たこが食べたいが、やっぱり今日もない。
なかなか入らないようである。
若親方が、平貝がありますよ、と。
平貝もこのところ入らないと言っていた。
では、平貝と煮いかを。
煮いか。
甘いたれをかけて。
きれいに柔らかく、火を通しているものである。
赤くなっているのは皮、だと思うのだが、ゆでると
ペロッとはがれてしまうはず。
平貝は、繊維と直角方向に薄く切って、
炙り、海苔。
磯辺巻き、で、ある。
香ばしく、歯応えがよい。
海苔のうまさも感じることができる。
少し前であれば、鮨やのちょっと乙な酒の肴。
だがいつもある定番であったはずである。
平貝も獲れなくなっているのは、どうしたこと、
で、あろうか。
江戸前鮨では、ほたてではなく、やっぱり
平貝である。
私は、貝類の中では最も好きな種の一つである。
これも養殖ができないのであろうか。
市場が小さいのか。
ともあれ。
ここから、にぎり。
いか、から。
やっぱり、もうだいぶ大きい。
大きくなると、堅くなるが、まだ、よい歯応え。
あまみも十分。
白身。
平目、鯛。
平目はお得意の昆布〆。
水分が適度に抜け、ちょうどよい歯応え。
うまみも十分。
生の平目とは、別物である。
鯛もうまい。
最近よく出してくれる。
海老の頭の味噌汁。
かなりの濃厚さ。ばかうま。
最近、ラーメンやで海老から出汁を取ったという
ところがあったりするが、比べればラーメンやは
まったくの素人仕事ではなかろうか。
完成度が違う。これが、プロの仕事である。
さて、光物。
小肌、から。
半身である。
もうだいぶ大きなもの、なのであろう。
三代目桂三木助師は「竃(へっつい)幽霊」の枕で、
昔は12月から1月に小肌の鮨を売りにきたものだった、
と、老人が話していた、という録音が残っている。
冬は脂がのる、と。今はあまり聞かないが、
冬を前に脂を蓄えるのか。
明治の頃かと思うが、売りにきた小肌の鮨は、
どんなものであろうか。
やっぱりにぎりであったのか。
次は、鯵。
弱く〆てある。
酢洗い、かと思っていたが、今日は先客も帰ったので
聞いてみる。小肌や鯖ほどではないが、塩をして、
ほんの少し置き、酢に漬ける、と。
つづく
台東区浅草2-1-16
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