断腸亭料理日記2023

帝国ホテル・ラ・ブラスリー その1

4392号

8月13日(日)夜

さて、日曜日。

台風の影響が出始めて、午後突然の豪雨。

夜は、内儀(かみ)さんの希望で、帝国ホテルの
ラ・ブラスリー
へ。

シャリアピンステーキが食べたいとのこと。

18時から予約を入れておく。

銀座線で銀座まで行って、歩く。
雨が降っていないが、いつ降ってもおかしくないか。
とにかく蒸し暑い。

地下から、銀座ファイブを抜けると、帝国ホテルに
最も近くに出られる。

こちら側は帝国ホテルのタワーだが、
[ラ・ブラスリー]はその地下なので、降りたところ。

入り、名乗る。

壁際のテーブルに案内される。
やはり、来るたび、毎度思うがここのサービス
というのは、流石のものである。
にこやかで柔らかくありながら、慇懃無礼ではなく、
自信を感じさせるしっかりした言葉と物腰。

まずは、ビールをもらって、なんにしようか。

内儀さんのシャリアピンステーキは、
メインのコースに入っているよう。
これにしたらどうか。
メインコースは「帝国ホテル伝統のフルコース」
という名前。
シャリアピンステーキに加え、もう一つの看板、
エリザベス女王が来日時に出した、海老のエリザベス
女王風というのが入る。

そして、もう一つ、フランスの画家、マティスに
ちなんだコースがある。
ちょうど今、8月20日まで上野の東京都美術館で
マティス展をやっているよう。

まあ、西洋美術にはほぼ無縁の私は
まったく知らなかったが。

ちょっとおもしろそうなので、もう一つ、
このコースにしてみようか。
中身は、マティスを代表する緑、赤、プロバンス、
オレンジ、、こんなところをテーマにしているよう。
やはり魚介と肉が入る。

メインが15,000円也、マティスが13,000円也。

パンがきた。

フランスパンと、ちょっと蜂蜜の香りのする
ソフトなもの。

マティスの前菜。

目にも鮮やか。
さすがに、アーティスティックな皿。

「緑のコントラスト」というタイトル。
緑というのがマティスのキーカラーなのか。

キャビィアとコキヤージュのタルタル 緑の
ガスパチョ・ソース、とのこと。

下にはキャビィアと、貝のマリネのようなもの。

皿の一番上に緑色の宝石のようなゼリーがあるが
これは、ミント、か。
お口直しに、とのこと。

全体を通して、かなりさわやか。
キャビィアも塩味が少なくとても上品。

メインコースの前菜。

テリーヌ・トラディション

伝統的、テリーヌ?。
テリーヌというよりは、ハムに近い、かもしれぬ。
フレンチの伝統的なのか、帝国ホテルの伝統的
スタイル、ということか。
入っているナッツは、ピスタチオ、か。
なめらかで、上品な食感。

メインコースのスープ。
マティスコースにはスープはなし。

伝統のダブルビーフコンソメスープ。

なにがダブルなのかは不明。聞けばよかった。
開業当時から変わっていないレシピで、三日かけて
作られるという。
芳醇というのか、深いがすっきりとしている。
流石。

マティスコースの魚料理。

マティスの赤、という。

甘鯛のポッシュをサフラン香るソースで、とのこと。

またまた、アーティスティックな盛り付け。
赤が印象的。
このレイアウトは、なにかを表しているように思うのだが
知識がなく、わからない。

ポッシュ(poche)とは、フランス語で沸騰させずに
ゆでるということらしい。
英語だとポーチ。ポーチドエッグ。

甘鯛は、日本的に鱗を残しである。
ポーチというが、おそらく焼いている。
湯通し後、オーブン?。
下の黒っぽいのは、イカスミ、とのこと。
ソースというよりも、すり身のように固められて
いる。

サフランのソースは多少の酸味があり、卵黄系か。

穏やかで、上品。

赤い球体は、想像通り、トマト。

白い細長いのは、生のいか、か。
軽くマリネされているよう。


つづく

 

 

帝国ホテル・ラ・ブラセリー

 

 

 

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