断腸亭料理日記2022

北海道八雲牛サーロインステーキ

4186号

10月8日(日)夜

さて。
まあ、私のような者は特殊なのであろう。
それは前提とするのだが、ちょいと、妙な
ことになった。

NHKの「うまいッ!」という番組がある。

特定の農林畜産漁業、一次産品の品目に焦点を
あてた、教養バラエティー、グルメ番組といってよいか。

おもしろいので、毎回視ているのだが、最近の回で
「うまみたっぷり!さわやかな香り 赤身牛肉〜北海道・
八雲町〜」というものを視た。

北里大学獣医学部の実験農場といってよいのか。

ここで、広い牧場で育てた牛の赤身種の肉が
「うまいッ!」と。

牛肉というのは、黒毛和牛の霜降りもよいのだが
ステーキだと、この年の者には脂が多すぎる。
適サシ、なんということも言われているが
そこそこでよい。
むしろ、赤身のアンガス牛がうまい、と、
私などは思っている。

赤身牛の取り組みというのは、大いに気になる。
さっそく、例によって取り寄せてみようと、
ネットを調べ、買ってみた。

サーロインで500gのブロック。
5000円。
むろん安くはない。

届いたのは、これ。

これが、赤身?。けっこうな霜降りに見える。

ともあれ、冷蔵庫で解凍。

付け合わせはなんにしようか。

色々考えたが、あるものを食べてしまおう。

最近、練り梅を買った。
「無印」のものがうまい、と、練り梅好きの
アイドルの女の子が言っていたので、買ってみた。

この無印のものは、塩味も酸味もかなり強かった。
男の場合、酸味には弱い。

まあ、それがわかれば使いようはむろんある。

きゅうりで食べたのだが、そのきゅうりが半分
残っている。

クレソンだけ買ってきた。

解凍ができた。

厚いので常温に戻さなければならない。
また、これは大きいので半分に切りたい。

まだ冷たいうちの方が切りやすかろう。
先に切って、常温に置いておく。
きゅうりは冷蔵庫から出して、水に漬けておく。

この厚み。

2cmはあろうか、なかなかのもの。

常温に戻ったところで焼き始める。

やはり、フレンチ式に油たっぷりで
焼くのがよろしかろう。

ただ、この厚みなのでじっくり。

最初は中火。
厚み方向の面も肉を立てながら焼く。

アロゼをしながら。

このくらいの表面の色になっても中までは
まったく火が通っていないのである。
気を付けなければいけない。

金串を刺して、中の温度を測る。

この金串もなん回も刺すので注意が必要。
一度刺して常温に置いておくと、温まってしまうのである。
温まると、ほんとうの中心の温度がわからない。
刺したら、冷蔵庫へ入れ、冷ましておく。

中火から、弱火。
時には火をとめて、休ませる。
金串を刺して、中の温度を見ながら。

中まで温まり、ドリップの出方で火の通りを
見計らい、焼き上がりを決めた。

梅きゅう、クレソンも添えて、皿へ。

味付けは塩胡椒のみ。

ビールを開けて、切る。

ドリップはほぼ出ず、ちょっと強めの
ミディアムというところか。
焼き具合は、自分の好みのあたりにはなった。
成功といってよいだろう。

生だとサシは入っていた。
焼いた味は、脂がほどよく、うまい。
なかなかよいのではなかろうか。
サーロインなので、十分に柔らかい。

さて、これ、これで終わりではなかったのである。
この文章を書くために、もう一度八雲牛、北里大学の
農場などの関連ページを見直して気が付いた。

八雲牛というのは、北海道函館にも近い八雲町の牛。
だが、二種類あったのである。
つまり、北里大学の赤身の牛以外にも八雲牛は
存在し、私が買ったのは、そちらであったのである。
牛そのものは、黒毛和牛なのか?これもよくわからぬが、
サシは控え目に育てているという肉。

NHK「うまいッ!」の制作スタンスはNHKなので
これを視て、取り寄せて食べようという者のことを
想定していない、という立場を取るのであろう。
どこで買えるかなどは、野菜でも魚でも毎回放送しない。
だが、それは無理がある。
NHKでも教養であろうが、芸人氏がMCをし
バラエティー要素を入れていれば、民放のグルメ
番組同様、調べて入手しようとする者は出てくる。
当然、そこには製作上の配慮が必要であろう。
八雲の牛には北里大学以外の牛があることを
製作は知っていたのか。勝手に取り寄せる者は
ともかく、生産者にも迷惑が掛かることに気付く
べきであろう。

 

 

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